各地で「初カツオ」が水揚げされました! というニュース。

これを聞いて反応しないわけにはいかないでよね。

たたきにして美味しい「初カツオ」、刺身にして美味しい脂が乗った「戻りカツオ」季節を感じさせる食材です。

太平洋側にある日本の各地の漁港で水揚げされます。

カツオの街に「一足早い春」 勝浦漁港で初水揚げ7トン(1月25日付 千葉日報 抜粋)

千葉県勝浦市の勝浦漁港で24日、カツオ漁の今年最初の船が接岸した。水揚げ量は7トンで、出迎えた関重夫副市長は、「一番船が一足早い春を運んでくれた。カツオの街が活気づく」と船員に地酒を贈り歓迎した。
港の競りでは1キロ当たり660~1110円で取引。勝浦漁協の担当者は「まあまあの値段が付いた」と評価した。同港は、黒潮に乗り4~7月ごろに房総近海まで北上してくる「初ガツオ」の一本釣り漁で日本有数の水揚げ規模を誇る。 カツオの2015年の水揚げ量は約1万6千トンで、水揚げ額は約58億円だった。

旬のカツオ、そうなんだ! <雑学>

そもそも「初ガツオ」と「戻りカツオ」でどこからくるの? という疑問です。

初カツオ

カツオは、南太平洋で生まれて、3つのルートで日本近海へやってくるんですね。

  1. 黒潮本流にのり、南西から伊豆沖へのルート
  2. 小笠原海域からまっすぐ北上して紀伊沖へのルート
  3. 黒潮本流と小笠原海域の中間を北東に進み、伊豆沖へのルート

そして伊豆近海で合流して太平洋を東北沖へと進みます。この回遊ルートを通って、カツオが伊豆近海にやってくるのが5月~6月ごろです。これを釣り上げたのが「初ガツオ」で、初夏がカツオの旬といわれています。あっさりしていますのでタタキに向いています。

戻りガツオ

初夏に、「初ガツオ」として釣り上げられるのを免れたカツオは、東北から北海道南部の沖合いまで北上し、9月~10月にかけて、房総半島沖あたりに南下してきます。これがいわゆる「戻りガツオ」ですね。夏の間、北の海で小魚やプランクトンをたっぷり食べて、身に脂が乗っています。濃厚な味わいの「戻りガツオ」は、脂が乗っていて、刺身で食べるとおいしいです

それではカツオ漁はどうやって獲るのでしょう?
鹿児島県枕崎漁港で聞いてみました。

カツオ漁法は3種類

① 遠洋一本釣り
長さ65m、重さ499tもの大きな船が主流で、「ぎじばり(魚にみたてた針)」 を使って竿で一本ずつ釣ります。釣ったカツオはすぐに-50℃に冷凍され、ほとんどは、お刺身やたたき用として冷凍のまま加工されています。 1回の航海で50~60日くらい漁にでます。 1年の前半は、カツオをとります。赤道を越えてフィジー諸島付近などや、遠いときにはニュージーランドあたりまで行くこともあります。後半は、脂がのったカツオ(トロカツオ)やビンチョウマグロ漁を三陸沖でします。

② 近海一本釣り
3月~5月にかけて初カツオ漁を奄美大島近海で行います。6月以降は三陸沖の日本近海で漁をします。魚をとる方法は、遠洋一本釣りと同じです。1回の航海は、一週間ほどです。この漁法で捕ったカツオは、生のカツオで、新鮮なので主にお刺身や生食に使われます。

③ かつおまき網漁業
周年を通して太平洋でカツオを網で捕ります。1回の航海は40日~50日。捕ったカツオは、ほとんどがカツオ節に加工されます。

漁獲量の1番は?

平成24年のデータから、1位は静岡県で、全体の29%を占めていました。カツオといえば、高知県というイメージがあるのですが1位じゃないんですね。しかし、そうだかつお類ではダントツの1位です。そうだかつお(宗田鰹)というと、かつお(本鰹)より血が多くだいぶ濃い濃厚な赤身です。

それでは、世界での漁獲量はといいますと、

1位インドネシア、2位フィリピン、3位日本、4位アメリカ、5位エクワドル、スペイン、韓国、台湾の順となっています。 インドネシアの漁獲量はダントツでフィリピンの倍の量なんですね。

ところで、カツオといえば、「一本釣り」ですよ。漫画「土佐の一本釣り」でも有名です。私たちもこのイメージが大きいのですが、カツオの一本釣り漁獲量だけですと、なんと「宮崎県」が一番なんです。

宮崎県は近海カツオ一本釣りで日本一

カツオといえば全国的には高知県が知られていますが、宮崎はその高知に2倍近い差をつけて、近海カツオ一本釣りで日本一の水揚げを誇ります。10トンクラスの船が主力の沿岸マグロはえ縄漁でも日本一、19トンクラスの近海マグロはえ縄漁でも第2位の水揚げとなっています、いわばカツオ・マグロの王国ですね。 県内では、日南市の油津、大堂津、南郷町目井津をはじめ、宮崎市青島、川南町、日向市、延岡市など、ほぼ全域でカツオ・マグロ漁船が操業しており、沖合い数キロの沿岸から、南米ペルー沖合まで、獲物を追いに行っています。

~ まとめ ~

この「初ガツオ」、旬のものとして食卓に上るのは初夏ですね。

俳句にもこんなのありました、

「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」
これは江戸中期の俳人山口素堂の句で、「青葉」「ほととぎす」「初鰹」の3つの季語が重なっている有名な俳句です。初かつおの時期は春から初夏にかけて、 青葉、ほととぎすにならんで、初夏の代名詞といえば「かつお」だったんですね!

面白い句では、
「初鰹 銭と辛子で 二度涙」 というのもあります。
昔は、初ガツオといえば高価なもので、銭が無くなり、一緒に食べる辛子で二度涙が出るっていうわけですね!

そんな「初ガツオ」、本格的な旬は5月に入ってからです。 待ちましょう!