毎月24日は、お地蔵さんの縁日です。

今年初めの縁日ですから、今日は「初地蔵」なんですね。初地蔵といえば東京巣鴨の「とげぬき地蔵尊」高岩寺での縁日が有名です。

お地蔵さま以外でも、毎月いろいろな如来さまや菩薩さまの縁日があり、信仰にあわせて縁日の屋台が楽しみのひとつでもあります。

お地蔵さんの縁日

それに今日は、大寒波による影響で各地ではどこも雪景色ですね。

ところで、お地蔵さん、雪、といえば、日本昔話の「笠地蔵」を思い出します。

むかしばなし「笠地蔵」、雪の日のお礼

ある雪深い村に、ひどく貧しい老夫婦が住んでいました。年の瀬がせまっても、新年を迎えるためのお餅すら買うことのできない状況でした。 そこでおじいさんは、自分で編んだの笠を売りに町へ出かけますが、笠はひとつも売れませんでした。
吹雪いてくるかもなあ、とそんな気配を感じ、おじいさんは笠を売ることをあきらめ帰路につきます。 吹雪の中、おじいさんは7体の地蔵を見かけると、売れ残りの笠を地蔵に差し上げることにしました。しかし、手持ちの笠は自らが使用しているものを含めても1つ足りない。そこでおじいさんは、最後の地蔵には手持ちの手ぬぐいを被せ、何も持たずに帰宅しました。おじいさんからわけを聞いたおばあさんは、「それはよいことをしましたね」と言い、餅が手に入らなかったことを責めませんでした。

その夜、老夫婦が寝ていると、家の外で何か重たい物が落ちたような音がします。そこで扉を開けて外の様子を伺うと、家の前に米俵や餅・野菜・魚などのさまざまな食料・小判などの財宝が山と積まれているではないですか。おじいさんとおばあさんは雪の降る中、手ぬぐいをかぶった1体の地蔵と笠をかぶった6体の地蔵が背を向けて去っていく様子を目撃しました。この地蔵からの贈り物のおかげで、老夫婦は良い新年を迎えることができたとさ。

良い行いをすると、必ず良いことが起きますよ、という心温まる童話です。

そもそもお地蔵さまでどのようなお方なのでしょうか?

お地蔵さまの本名は『クシティ・ガルバハ』(梵語)と言いまして、仏典の「地蔵十王経」によれば、あの鬼より怖い閻魔大王の化身なのだそうです。地蔵菩薩は元々、お釈迦さまがお亡くなりになって56億7千万年後に弥勒菩薩さまが現れるまでの間、衆生を救う(一切衆生を教化する)ことを主な役目とした菩薩さまだと言うことになっています。

ちなみに、
お地蔵さまが与えられた役目の期間が56億7千万年後というと、地球の年齢が45億4千万年といわれてますので、お地蔵さまの時代は、あと11億3千万年残っておりますね。

つまり、閻魔さまの化身だとも言われるほどのお方ですから、亡くなった人が冥途に旅立ち、地獄の閻魔さまのお裁きを受けなければなくなくなった時、強い味方になって頂けるという訳です。

農耕民族である祖先は、クシティ(大地)を意味するお地蔵さまと豊かな恵みを施してくれる「土地」とをだぶらせて、地蔵信仰が育まれたのだと思われます。
平安時代の末法思想は、人々の浄土への憧れを増幅しました。そこで失うものを沢山抱える貴族階級の間で広まったのが地蔵信仰だったのです。人々は、毎月24日を「縁日」として、お地蔵様の名前を念仏のように唱えて、ひたすら西方浄土への往生を祈願するために集いました。それを地蔵会・地蔵講と呼んだようですが、既に12世紀の中頃には京都の六波羅密寺で地蔵会が行われたという記録(仁安2年、1167年10月)もあり、中世になると現世利益をもたらす仏とも見なされてゆくようになったようです。

その他の縁日

毎月、さまざまな縁日があるといいましたが、代表的なものを挙げてみますね。

薬師如来 – 毎月8日、虚空蔵菩薩 – 毎月13日、阿弥陀如来 – 毎月15日、
観世音菩薩 – 毎月18日、弘法大師 – 毎月21日、八幡神 – 毎月23日、
地蔵菩薩 – 毎月24日、愛宕権現 – 毎月24日、
天神 – 毎月25日(天神祭)、法然上人 – 毎月25日
不動明王 – 毎月28日、大日如来 – 毎月28日

21日は初弘法

弘法さんの「初弘法」は以前の記事でご紹介しました。
こちらの記事から ⇒ 「大寒です! 京都、東寺 弘法さんを探して!

25日は初天神

明日の25日は、「初天神祭」、地元「太宰府天満宮」でも初天神のお祭りはあります。
また、先のイベントとして是非一度ご覧いただきたいのが、3月の第1日曜日に執り行われる「曲水の宴」ですね。 平安時代の宮中行事を今に再現する禊祓みそぎはらえの神事です。十二単じゅうにひとえをまとった姫をはじめ平安装束に身をつつんだ参宴者は、曲水の庭の上流より流れてくる酒盃が、ご自分の前を過ぎる前に和歌を作り、お酒をいただくという雅みやびな神事です。

28日は初不動

28日は、お不動さんの日ですね。大日如来の日でもありますが、お不動さんは大日如来尊の化身だといわれていますので、同じ日なんです。
不動明王はインドの最高神シヴァ神を起源としているようですが、大日如来が悟りを開いたときにシヴァ神を屈服させた話が面白いので紹介しますね。

大日如来が悟りを開いて仏陀になったとき、ありとあらゆる三界の生き物たちが集会に来ました、自分こそ三千世界の主と考え、慢心するシヴァ神(大自在天)だけは招集に応じませんでした。

シヴァ神は「夜叉明王(インドの魔法を使う精霊)が大日如来の使いとして来るだろうが、奴らは不浄なものを嫌うから、不浄なものを幻術で作り出し、四方に張って、その中にいれば夜叉明王の明術も役に立つまい」として結界を張りめぐらし、近寄れないようにしました。

不動明王がシヴァ神を呼びに行くと不浄の結界で覆われていたので、不動明王は不浄金剛(烏枢沙摩明王)を召還し、不浄を食らい尽くさせました。そして、ただちに不動明王はシヴァ神を捕らえて仏陀の元へ連行します。

しかしシヴァ神は、「汝らは夜叉に過ぎぬが、私は神々の王なのだ!」と言い、何回も逃げ続けました。 仏陀が「断罪すべし」と命ずると、シヴァ神とその妃(ウマー)を踏み殺し絶命させたのでした。(これが降三世夜叉明王の姿です)

そして、シヴァ神の処分を尋ねると仏陀は「蘇生させよ」と言うので、法界生真言を唱えて復活させました。シヴァ神は喜び、不思議がり、「この夜叉は何者なのでしょうか?」と尋ねると、仏陀は「諸仏の主である」と答えました。シヴァ神は感激し、万物の全てにおいて尊い諸仏の上に、さらに諸仏の主がいることを知り、また彼が不動明王という「大王」のお陰で将来仏になれる授記(仏が、弟子に対して未来世の証果、特に成仏の証言を与えること)をも得たのでした。

~ まとめ ~

ご縁日とは、神社の祭神、寺院の本尊仏や開祖と有縁(うえん=縁のある)の日ということです。 神仏の降誕・入滅・示現・誓願など縁(ゆかり)のある日で、この日に祭祀や供養が行われます。

私たちの身近にある「神社」や「仏閣」、どこかでこの「縁日のお祭り」は行われています。

縁日の由来や地元で育まれてきたお祭りを、今一度体験してみるというのはいかがでしょう。

特定の宗教や信心という境界を越えて、この「縁日」というものに触れますと、そこには私たち日本人の八百万の心といいますか、広く自然を敬い、生まれ育った土地を愛し、受け継いできた伝統や習慣を大事にする素晴らしい光景があります。

是非、「縁日」を楽しんでみましょう。