今回のシナリオ分析は、ビジネス視点でトライしてみますね。

前回、結婚をテーマにシナリオプランニング(シナリオ分析)してみました。 妄想力を働かせて、C子さんがS君と結婚を決断するかどうか、シナリオをバッドからグッドまで想定し検証しました。 当然、結論はC子さんが出すべきなのですが、リスクとリターンがよくわかって参考になりましたね。 

最近、ほとんどの企業が、ネットを活用しています。 企業独自のホームページは当然ですが、顧客との接点を広げるために  FacebookTwitterさらにはLINEまで活用は多岐に渡っています。

ここである企業に登場していただき、ネットへの新戦略の可否を判断してみたいと思います。

 

この記事の目次

|シナリオ分析とは

まずは、簡単におさらいしましょう

例えば、最悪の事態を想定して組み立てるのが危機管理の基本です。 そのとき、最悪の事態から最高の結末まで様々なシチュエーションを考え合わせます。

街で地震を予知または発生したら、いかにいち早く市民に知らせ安全な場所へ誘導し、生命を守るかが最優先になります。 このとき財産は二の次ですよね。 事情によって優先順位は変わりますし、事前の想定が甘いか精緻かで人が被る結果も大きく変わってきます。

重要な決断を下す前には、ベストシナリオと最悪シナリオの両方を描くことが不可欠となります。 人や組織の活動であれば、リターンとリスクのバランスをいかに把握できているかが、意思決定の上では大きなカギを握ってきます。

シナリオ分析の方法

意思決定をしたときに、どのような「リスク(損失)」とどのような「リターン(期待)」が想定されるかを明らかにしていきます。

☑ N社は、「ネットを利用するか、しないか」、というまず「意思決定」をします

☑ その裏にはいくつかの「不確定要素」があるでしょう。 これを洗い出します

「ネット利用を促進する」と決めた場合の不確定要素の一つ目は「ネット利用は上手く行くか?」という疑問。 二つ目に、「企画・運営・担当者はどうするのか?」という課題があります。

「ネット利用を促進しない」と決めた場合の不確定要素の一つ目は「ネット以外で別の販促は見つかるのか?」という疑問。 二つ目に、「そもそも新しい販促マーケティングは必要か?」という疑問が湧いてきます。

☑ これにそって、それぞれの不確定要素を埋めるYESNOかのシナリオが出来てきます

☑ そのシナリオに進んだとき、どのようなことになるか妄想力」を働かせます。 それが、「リスク」や「リターン」ということに整理されます。

それでは、前回に続き次の前提で、さっそく整理して、やってみましょう。

 

|前提 N社の事情と戦略

☑ N社は、創業から50年を経過しました。 規模は中堅、事業意欲は旺盛なのですが、なかなか業界の上位に食い込めません。 商売の戦術に関しては、かなり保守的で新しい取り組みというものに縁がありません。

☑ 組織はオーナー経営である利点か、従業員の統率は素晴らしいものがあります。 しかし、ここにきて他社がネットを使った取り組みを先行させ、新たな販路を築こうとしています。

☑ N社は、ここのところ売上の伸びが芳しくなく、利益率も落ち気味になってきました。 このままでは後れを取るかもしれないと、他社と同じようにホームページだけではなくネット利用拡大に追随するか否か悩んでいます。

果たして、新戦略の可否は?

それでは、意思決定にもとづき、シナリオを展開してみます。

 

【意思決定】 N社はネット利用を拡大すべきか?

 

大きな判断 Yes> Facebook、LINEなど顧客向けのネットマーケティングを始める

 

【不確定要素A】 ネット利用は旨くいくのか

 

<小さな想定 Yes> ネット利用は旨くいく

【シナリオ1】 反響があり、信頼が高まり、顧客が増える

【妄想】 新商品を出すときはネットで反応を確かめられる。 顧客からの質問に真摯に向き合うことによって信頼が高まり、独自のフォーラムやグループが構成された。 おかげで顧客の数が増え、利益率の高い商品良さをアッピールすることによって、売上も利益も順調に伸びている。

<小さな想定 No > ネット利用が旨くいかない

【シナリオ2】 少しの反響はあったが、一時的なもので、さしたる効果は望めない

【妄想】 立ち上げたころは反響がありましたが、最近いまいち反応が薄い。 担当者も機械的で、記事の内容が薄っぺらく面白くない。 商品の紹介だけで込める思いが伝わってこない。 やりかたが不味いのでしょうか。

【不確定要素B】 企画・運営・担当者はどうする

 

<小さな想定 Yes> 早急に企画を立て、運営部署を設け、担当者を置く

【シナリオ3】 反響があり、信頼が高まり、顧客が増えた

【妄想】 担当者のガンバリで人気が出てきた。他社より個性のあるサイトとなり訪問者も増え続けている。 記事の内容が商品だけに偏らず、原料から製品までの思い入れや、業界のとっておきの話、お得な情報など、顧客が聞きたい知りたいと思っている何かと助かる内容だ。 これからは、コンテンツ(中身)の時代だから専門部署やしっかりした担当者を設けて良かった。 この調子で行けば、他社のサイトとは差別化され、コアなファンがどんどん付いてくると思える。

<小さな想定 No > 立ち上げ後、専任者不足やスキル不足で片手間の仕事になる

【シナリオ4】 少しの反響はあったが、一時的なもので、さしたる効果は望めない

【妄想】 専門知識が低いのは仕方がないとしても、部署の中で制約が多すぎる。 内容についていちいち他部署へ確認をとったり、ダメだしをくらったりと、自由度が低い。 商品の紹介や事業内容の更新などが主で、記事の内容が機械的になっている。 通販サイトでも思い入れは書いているが、担当部者や担当者への理解が浅いため、モチベーションが低くなっている。 これでは、良くなりようがない。

大きな判断 No > Facebook、LINEなどネット利用は見合わせる

 

【不確定要素C】 ネット以外で別の販促手段が見つかるのか

 

<小さな想定 Yes> 販促手段が見つかる

【シナリオ5】 TVメディアを利用。 プラス、メールやカタログ送付でダイレクトマーケティングを行う

【妄想】 ネット以外の販促手段を拡大しよう。 まずは、TVCMをやってはいたが今後はTV会社から取材を受けるようなPR戦略をとっていこう。 そのためにはPR専門業者とのタイアップが必要だ。 さらに、ステルス的なダイレクトマーケティングに挑戦しよう。 これはこれで面白い。 しかし、個人情報が厳しい時代、しっかりした考え方で取り組まないと大変なことになる。 どちらも新戦略とはいえ一から企画する必要がある。

<小さな想定 No > 別の販促手段が見つからない

【シナリオ6】 既存の販促規模を拡大する?

【妄想】 ネット利用もしない、別の販促手段も見つからないとすると、今までの販促マーケティングを踏襲するだけだ。 メディアの活用としてTVCM。 それに販売店へのカタログ送付。 販売店での営業と口コミマーケティング。 新商品の発売時は、街頭キャンペーンに販売店売り込みをかける。 販売店では、チラシを作製させ大量にまく。 今までやってきたことをさらに強化し、徹底する。

【不確定要素D】 そもそも新しい販促マーケティングは必要か

 

<小さな判断 Yes> 必要だと思っているので研究する

【シナリオ7】 いまさら研究?

【妄想】 ネット戦略や別の販促マーケティングといわれるものは、はやりみたいなもの。 他社の動向をみて、いけると思った時に挑戦すればいいのではないか。 いま、焦ってわからないものに挑戦するよりじっと研究していたほうがベストと思う。 もともと我が社は、オーソドックスな商売が基本なので、あわてて取り組むのはよろしくない。 失敗しないように、しっかり研究していこう。

<小さな判断 No > 新しい販促マーケティングなどない

【シナリオ8】 いままで通り、なにもやらない選択。今まで通りの営業スタイルを貫く。

【妄想】 我が社はリアルな企業であり現業だ。 ネット利用は、そもそもやらない。その必要性も感じていない。 フェイスtoフェイスで商売をやってきた。 新しい販促マーケティングなんぞやっても商売の本質を失うだけ。 昔からの伝統を大事にして製品や商品の価値を認めていただける顧客へ売っていく。 それが本道であると考える。 敢えて、時代を追わない。

 

ビジネスにおいての シナリオ分析のやり方はだいたいお分かりになったと思います。

 

もう一つ経営トップが事前に確認すべき事項とは

N社はどのように決断するかはわかりません。 企業であれば、どのシナリオも有りだと思うからです。 ただここで検討に加味されていないことがあります。

それは、時代の変化と企業のパラダイムシフト(事業転換、発想の転換)を中心に据えるのか、ただ事業の一部として派生させる新規事業なのかが検討されていません。

旧来のリアルの考え方でこのネットという課題を捉えれば、まるで異質のものを扱うような目で見てしまいます。 商売、つまり企業活動の本質の部分において、顧客接点を考えますと果たして異質なのか、区別すべきなのか、ということをまず最初に確認するべきです。

今回のシナリオ分析は、その確認が行われた上での結論出しだと考えます。

個人的感想

そうであるならば、個人的な感想として、シナリオ2・4・6・7のように中途半端なシナリオは選択の余地はないと思います。

前向きであれば、シナリオ1・3ですね。 シナリオ5を選択し別の道を模索することは有りでしょう。 後ろ向きとは言いませんが、保守的な大決断は8ですね。

 

~ まとめ ~

・ビジネスの現場において「シナリオ分析」は、成功の確率や成功したときの想定する事業規模を算定したりと、結婚のような新たな事業の可否を判断するために利用されます。

・この「妄想力」を働かせることによって、現代のような先行き不透明な時代、まさに「不確定要素」が多い時代をなんとか勝ち抜いていくことができます。

・あなたも自分の人生における決断において、妄想力を働かせ、バッドニュースからグッドニュースまでもらすことなく想像しシナリオを作ることがでたとしたら、想定を疑似体験することになります。

危険を冒してまで賭ける価値があるのか最悪の事態が起きたときに耐えられるのか、そこまで考えることができれば、事業にしても結婚にしても迷いや不安は少なくなるはずです。

記事中にも指摘しましたが、この新規戦略を事業変革の中心に据えるのか、柱の一部として確立させるのか、それとも既存事業の補完としの位置づけなのか、経営において考えを統一させておくことがまず求められます。

決断のときは是非、シナリオ分析をしてみましょう。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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