問題解決のためのフレームワークとして、今回はMECE(ミーシー)の手法を取りあげます。

これを商売に活かしてみましょう!

どんなときに有効かというと、

☑ 発想するときに「モレ」や「ダブリ」がないかを確認する場合

☑ 新しいアイデアを出したいときに、今までの経験や知識の延長では答えが見つからない場合

 

まずは、例題を考える前に、MECEとは何かを簡単に押さえておきましょう。

MECEを使った分析とは何?

MECEとは、英語(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)の頭文字をとったものです。 直訳すると「互いに排他的でかつ集合的に徹底的である」となります。

なんのこっちゃ?

ひらたくいうと、「相互にダブリがなく,全体としてモレがない」ということ、そういう整理分析をしましょう、ということなんですね。

例を出しましょう。

「人間」を「男」と「女」で分けるとMECEになりますが、「人間」を「男」と「女」と「子供」で分けるとダブリが生じてMECEになりません。 また、「人間」を「年代」できっちり分ければMECEですが、「子供」「若者」「老人」とざっくり分けるとモレが生じてやはりMECEになりません。

問題解決するときに、

モレが生じれば機会損失につながりますし、

逆にダブりが生じれば効率性の低下につながります。

ですから、この分析方法が有効なんですね。

 

どうしてMECEが重要なの?

☑ 問題解決にあたるとき、誰しもその原因や方策を考えます。 ですが、何の当てもなくバラバラに思いついたことを羅列しても、かえって頭が混乱し解決策が見いだせなくなります。

一つは、全体を把握する必要があるのですね。

☑ 問題の原因にモレが無いか、対策の対象にはモレが無いかを検証することは、とても重要です。 ピックアップした事象にモレがあった場合、モレによって最重点項目が抜けたりすることがあります。

機会損失を無くすためには、なるべくモレが生じないようにします。

☑ 思いついたことを適当に羅列していくと、アイデアを出せば出すほどダブリが多くなります。 ブレーンストーミングのようにまずはアイデア出しというときはダブリを恐れず出していきますが、整理する過程では、このダブリを無くしていきます。

その結果、ダブリを無くすと時間のロスが減り、効率性が高まります。

 

ビジネスで利用されるMECEの切り口の例

1.ビジネスの枠組みで切る

  • 技術・コスト・サービス(ビジネスの優位性として)
  • 人・モノ・金・情報(経営資源として)
  • 市場・競合・自社(3C分析)
  • 固定費と変動費(コスト構造について)
  • 商品サービス・価格・流通チャネル・販促(4P、マーケティングの基本4原則)

2.異なる2軸の視点で切る

  • ハード(戦略・財務・システム)とソフト(人・理念・文化)
  • ミクロとマクロ
  • 個別と全体
  • 質と量
  • 内的要因と外的要因

3.対象・反対概念で切る

  • プラス要因とマイナス要因
  • あるものとそれ以外
  • A・B・C・その他

4.時間やプロセス・順序で切る

  • 過去・現在・未来
  • 企画・開発・設計・製造・販売
  • 商談・契約・発注・物流・納品・仕入・販促・売場展開・販売・アフター

整理する方法としてロジックツリーを活用

それでは、具体的な命題を考えてみます

小売業の商売拡大を例に、売上を増やし、業容を拡大するにはどうすべきかを漏れなく探ってみました。 方法や対策はまだまだ沢山考えられますが、課題としての網羅性は、なるべくそこなわないようにしています。 また、定量化できる、つまり数値で判断できる材料をもとにMECE展開できると、さらに説得力が増してきますので、なるべく数値で計れる対策にしました。

 

<問題>-売上高を拡大する

【課題】A-既存店の売上高を増やす

《方法》a-客数を増やす (絶対顧客数×来店頻度)

〔対策〕1-固定客を増やす

(具体策)①-優良顧客へプレミアムな提案をする

(具体策)②-新規や一般顧客へレジにてレコメンドする

〔対策〕2-来店の頻度を高める

(具体策)③-ポイントシステムを提案する

(具体策)④-販促チラシを今以上に撒く

《方法》b-客単価を増やす (買上点数×買上単価)

 〔対策〕3-買い上げの点数を増やす

(具体策)⑤-まとめ買いを推奨する

(具体策)⑥-関連陳列や関連販売を増やす

 〔対策〕4-買い上げの単価を高める

(具体策)⑦-単価の高いものを陳列の全面に出す

(具体策)⑧-単価の高いものを接客で勧める

【課題】B-新店を増やす

《方法》a-既存地域(西日本)に出店する

 〔対策〕1-カニバリ(自店競合)しない地域へ出店

(具体策)⑨-隙間となっている市町村を狙う

(具体策)⑩-業態もしくは規模を変えて出店する

 〔対策〕2-重点地域へ追加出店する

(具体策)⑪-小型店から大型店へスクラップ&ビルドを行う

(具体策)⑫-自店競合を厭わず地域シェアを獲りに行く

《方法》b-新しい地域(東日本)に出店する

 〔対策〕1-隣接の県から順次ドミナント出店していく

(具体策)⑬-新規の物流拠点を設置し県内一挙にドミナント化していく

(具体策)⑭-既存の物流拠点を利用し順次出店していく

 〔対策〕2-新規候補地へ出店していく

(具体策)⑮-関東に物流拠点を作り一挙に出店していく

(具体策)⑯-好立地であればどこでも出店していく

 

ここでは、具体策のタイトルだけを明示しましたが、さらなる中身の対策も出していくべきです。 そのおのおのを数値化し、可能性と目標を設定して、他の分析結果もあわせ、その中で戦略および戦術の可否を決定していきます。

 

担当部署がMECEでないことの弊害の例

MECEに切り分けられていないと起こる不都合はいろいろとあります。

例えば、上の事例でいくと、

担当事業部を決める場合、西日本事業部と東日本事業部、それに新店事業部にわけると、新店と既存店の責任分担が不明確になりお互いが競合相手となります。 また、一定時期を経ると、新店から既存店になりますので、それまでの経緯と責任が押し付けられたようでモチベーションが下がる可能性があります。

組織を考えるときには、役割と責任が明確になるようMECEされていた方が望ましいのですね。

 

命題に対する命題

ここでは、「売上を拡大させる」という命題を分析しましたが、そもそも「売上を拡大させる」ことが良いことなのか、という命題の命題について考えてみたいと思います。

「規模の拡大」と「長期間の存続」、どちらを重視するのか!

商売をすれば、そのほとんどの企業は、規模の拡大を目指しているといえます。

事業家として勝負するなら経営者としての元気な時期は、たかだか長くても30年。 たっだら勝負したいと思うのが人の性でしょう。 私は存続だけを望みますという経営者は、何十年何百年と続いてきた老舗企業の方だけではないでしょうか。 日本は、創業100年以上の企業が世界と比較しても大変多い国です。 規模の拡大よりも、永続を第一として経営戦略というか家訓を忠実に守ってきた企業です。 一方、とにかくスピード感を持って成長しようとする企業は、そこに流れる発想が違っているのだと思います。

つまり、変わらないことを良しとする企業と、変わることを良しとする企業の違いです。

変わらないことを良しとする企業は、長く続くことを最大の価値にしています。 事業そのものが普遍的なものを選択され、流行はできるだけ避ける、そして、環境の変化があれども、細々とでも続けられる財務基盤を作り上げておくことも重要、ということになります。 商品としても、昔からの伝統を活かしたロングセラー商品を大切にしています。 しかし、人間の欲というのは恐ろしいもので、長く続いている企業でもふと魔が差して違う事業に手を出し失敗してしまうということも耳にします。

大事なことは、得意の分野から目をそらさない経営です。

変わることを良しとする企業は、時代の変化に合わせ、時代のニーズを掘り起こし、スピードを持って商品開発なり展開を行っていきます。 先の小売業であれば、戦略をもって物流から店舗展開までを周到に計画して実行していきます。

それでも同じ拡大を目指してきた企業間で格差が出てきます。 最悪なケースは、規模の拡大を目指してきたのですが、ある一定規模に到達すると足踏みしてしまう企業です。 拡大したいという意思はあっても、それに対する戦略が無かった、もしくは間違っていたということからきています。

原因として考えられるのが、適切な挑戦をしてこなかったということに尽きるのではないでしょうか。 一時的にリスクをとらずしてその後の継続的なリターンはありません。 慎重で着実なリスクテイクの積み重ねが、将来大きく羽ばたける礎になるはずです。

問題解決、課題解決に取り組むとき、過去の経験や思い付き、目の前だけを見た適当な分析によってコトを起こすのではなく、できれば様々なフレームワークを使って分析し、果敢に決断するということが重要でしょう。

以前にもまして、現在のようなネット時代になりますと、あらゆる情報が一瞬にして伝わり、同時並行的に物事が起きたり、それに対する反応がでてきます。 ですから、変化対応するとういことは時代を生き抜く上で、けっして忘れてはいけないものなのですね。

最後に企業が、変わること、変わらないこと、どちらを選択するにせよ、変えてはいけないものがあると思います。 それは、経営理念であり企業文化ではないでしょうか。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

(Visited 375 times, 1 visits today)