会社四季報といえば、昔から株式投資をやってる方ならほとんどの人がお世話になっているはず。

その会社四季報、3月21日、本日の「会社四季報オンライン」で、こんなに安直でいいのかなと思ってしまう記事が出ていました。

その記事は、ウソ記事とかクズ記事とまでは言いませんが、これを書いた人は本当に企業の数字に明るい人なんだろうか、と思ってしまいます。

ちょっと、文章を引用して、疑問を投げかけますね。

いまさら疑問の売上至上主義?

それでは、会社四季報オンライン記事から

☑ 「売上高」は利益の源泉! チェック忘れるなかれ

会社四季報オンライン 3月21日(月)15時31分配信

「売上高」は利益の源泉! チェック忘れるなかれ

 儲かる銘柄を選ぶときに欠かせない基準の一つが「業績のよい会社かどうか」ということは前回のコラム「株価が上がる好業績会社はこの3パターン」で説明した。前回は利益について、注目の3パターンを紹介したが、今回はその利益を生む源泉である「売上高」に着目する。

売上高は利益の源泉ですから、冒頭の文はいいとして、

☑ 利益とは、売れた商品の数量×単価で計算される売上高から、諸費用を差し引いたものだ。株価が上がる好業績会社は、どんな時でも売上高が伸びているモノ。一時的なリストラなどで、利益が増えたとしても利益の源泉である売上高が伸びていないのであれば、今後の利益の伸びは期待できない。

まず、これは短絡的だと思いませんか。 利益率を向上させるには、一時的なリストラなどコストカット(経費節減)だけでなく、生産性の向上という方法があります。 さらに、製品原価率や商品原価率の低減が今後徐々に進んでいくということでも利益は伸びていきます。

例えば、製造業であれば、コストの安い部品調達を行っていき、組み立て工程を簡素化できたり、製造設備の稼働率を上げたりすることで生産性は向上するはずです。 生産性が上がると当然少ない人員や設備で同質同量の製品が生み出せるわけですから、リストラではない人件費の抑制や設備の効率利用ができることになります。 これを毎年0.5%改善できたとすると利益の伸びは凄いものになります。

ただし、生産性の改善スピードは、当然企業によっても違います。 成熟した企業であれば、生産性の改善率は、0.01%づつかもしれませんし、新興企業や新業態での稼働であれば、毎年1%の改善ができるかもしれないのです。

ということで、赤字のところは、間違いとまでは言いませんが、言葉足らずではないでしょうか。

 

☑ 企業活動の目的はひとえに売り上げ(売上高)を稼ぐことにある。原料の購入などにおカネをかけた企業は、加工などを施して、商品やサービスとして顧客に提供する。それが顧客に支持され、客からおカネをもらえて初めて売り上げが立つ。 つまり、売り上げが伸びているということは、顧客の支持が広がっていることを示しているのだ。

これもおかしいでしょ。 競争が無い市場や地域、小売業であれば単純に新店舗だけを大量出店している企業。 こういった企業はどうなんでしょうか?

顧客のほとんどが支持しているから売上伸びてると思います? 「そのサービスはその企業しかやってないんで仕方なく利用している」、「ライバル企業が撤退もしくは倒産したので売上が上がった」、「商品やサービスも今までと変わらずさほど特徴のない小売業だけど、新店をどんどん作ってる」 これって顧客の支持でしょうか。 売上上がってるんだから広義の意味では「支持されてる」だろ、と言われる方もいるでしょうが。

これでも一応、売上高は伸びていきます。

確かにそれが何年続けられるかということは疑問ですが、青字のように顧客の支持と売上を結び付けるのは、少々乱暴かと思いますよ。

 

☑ 売り上げの成長なくして、利益の成長なし

 特に事業規模がまだ小さい成長企業をチェックするうえで、売上高が増加しているどうかは欠かせないチェックポイントだ。新興市場に上場している成長企業は、先行投資で利益が伸びないが売り上げが拡大している場合がある。売り上げが一定水準に達すると利益が急伸するケースもあり、今後も成長し続けるためには、成長企業にとって顧客の支持である売り上げの伸びは絶対条件だ。

タイトルでまたしても、「売り上げの成長なくして、利益の成長なし」と書いてます。 まあ、売り上げの成長要因以外で利益を伸ばす手段は無い、と言い切ってるところが凄すぎますね。

せめて、「利益の伸びを支えるその一番が売り上げの成長だ!」だったら納得します

 

☑ 逆に新日鉄住金 <5401> のように成熟した会社は売り上げが大きく伸びる要因は、M&Aのケースが多くなる。

 また、営業利益を売上高で割った「営業利益率」も業績のよい会社を見つけるためのモノサシになる。営業利益率が高いということは、その会社の製品やサービスが、他社にない特徴・魅力を持っており、高い値段でも売れることを示している。高くても売れるのは、買い手の満足度が高いからバーゲンセールなどの値引きをしなくても、あるいは広告宣伝や販売促進に多額の費用をかけなくても、高い値段で売れるだけのブランド力が備わっているのだ。ネットサービスのように運営にかかるコストが少なくて済むケースも考えられるが、いずれにせよ営業利益率が高ければ、売り上げが伸びれば、営業利益もあわせて伸びる優良会社といえる。

ここで小売業を例にとって説明しているので、小売業に目を向けてみます。 小売業の営業利益率が高いということは、粗利益率に比べて経費率がとんでもなく低いということです。 粗利率が高いということは、仕入原価が安いということです。 一方、経費率が低いということは、小売業でいうと、人件費、地代家賃や店舗維持費が低いということになります。 仕入原価と販売売価で決まる粗利率は、小売の業種・業態によって違いますが、ディスカウントの15%くらいから専門店の50%以上のところまでまちまちです。 粗利益率(売上総利益率)-経費率=営業利益率です。

上記の赤字の文を読んでみてください。 買い手の満足度が高くブランド力を備わったら値段が高くても売れる、とおっしゃっています。 注釈の下線のところでは、バーゲンセールや値引きも必要ない、まして広告宣伝や販売促進の費用もわずかで良い。 どこにそのような企業がごろごろあるでしょうか。 あったとしても稀ですね。 でも、そのような企業は何かと慢心し、時代の流れについてゆけず、将来頭打ちになるのがせきのやまです。

これは一部の自動車関連かエレクトロニクス関連のコンシューマー用製品を作っている会社のことか、もしくはブランド好きの方の妄想でしょう。

どんな業種の会社でもブランド神話がまかり通るとは、どうしたことですかね。

 

☑ 好循環会社は営業利益率の改善が続く

 どの会社でも同じモノを量産すれば製品1個当たりのコストは下がる。これを量産効果という。営業利益率が高いということは好採算の製品が多いということで、モノがたくさん売れれば量産効果によって、採算がさらに向上していく。営業利益率が毎期のように改善していく会社は、そうした好循環にあることを示すので、今後の成長期待が高まる。

これに関しては、その通りだと思います。 やっと、売上と無理やり結びつけずに、常識的な見解です。

 

☑ 『会社四季報』では、業績欄を見れば最近の売り上げと利益の推移をチェックできる。売り上げ、利益ともに順調に成長しているか確認しておきたい。

 その際に、「台形型」に数字が並んでいたら、それはなかなか該当がないお宝会社なので要チェックだ。売り上げと利益両方がこの型がベストだが、利益だけでも注目に値する。会社が急変貌するとき、売り上げと利益はケタ違いに増えてくるもの。そうして1~2期でケタが変わってくると、業績欄には末広がりの台形が表れる。急成長会社を一目で見分けることができるので、覚えておきたい。

■ 売り上げと利益で銘柄を選ぶ際の3つのツボ

 ・売り上げは利益の源泉。特に新興株は要チェック

 ・営業利益率の改善が続く会社が狙い目

 ・業績欄の「台形型」は要チェック

このくだりでちゃんと「売り上げは利益の源泉」と書いているではないですか。 売上至上主義の時代を蘇させるような文中の表現で、観点を単純化することは、差し控えた方がいいと思いました。

売上は利益の源泉という路線で、初心者の私たちへ最初から端折らずに、丁寧に書いて欲しいものです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。