株式のサイトで、最近の株の乱高下において、「投資家の心理とはいかに弱いものか」をおもしろく解説した黒岩氏のコラムを紹介しますね。

「Yahoo!ファイナンス 投資の達人」で、日経平均株価を予想するコーナーがあります。

2016年3月11日(金)の結果を受けて、3月14日(月)の見込みを予想するのです。

投資家心理の弱さが悲しい

語り口では、投資家のグチのようなものが聞こえてきそうで、大変おもしろいと思いました。

人の「強気」「弱気」心理を勝負の世界やこのような相場の世界に持ち込むと、心の葛藤が大きくその結果を変えていくことになります。 人ごとのように面白いといっておりますが、ごたぶんに漏れず私も少々株式をかじっております。

お金の損得になると、人は弱いもので心をコントロールするのはなかなか難しいのですね。

先日観にいったサブプライムローン破綻問題を扱った「マネー・ショート 華麗なる大逆転」でも描かれていましたが、世の中の流れと逆の方向を信じて進むというのは、大変なプレッシャーがあります。 崩壊すると踏んで売りの賭けにでた主人公たち、大逆転でビッグマネーを獲得したヒーローという描き方ではありませんでした。 流れに逆らい、今の状態はおかしいと信じる強いマインドと、そのプレッシャーに耐える精神力、これが華麗なんです

それでは、「投資の達人」黒岩泰氏のコラムを読んでみてください。 途中、注釈を入れますね。

タイトル 「恐怖に怯えたら負け、欲との戦い

 本日(11日金)の日経平均は86.52円高の16938.87円で取引を終了した。ドラギ発言を受けて急落してスタートしたあとは、徐々に下げ渋る動き。後場に入ってからは買い戻しの動きが強まり、株価は切り返す動きとなった。

実はこの日の前日夜、欧州中央銀行(ECB)理事会で金利の引き下げと資産買い入れ規模を大幅に800億ユーロに拡大すると発表され、相場は好感されるかもしれないという予想でした。しかし、ドラギECB総裁の発言で一転弱気となります。朝方、日経平均は242円安の16610円で始まり、前々日もドーンと前場で下げましたので、この日「またか」と株を売った人が多く出たのだと思います。結局11日の終値は、86円高い16938円でした。

 日経平均の日足チャートでは、大陽線が出現。前日のローソク足を完全に包んでおり、「強気の包み足」になっている。同時に下方の窓(16706.25円-16713.13円)を埋めており、強い調整一巡感が漂っている。強気相場は継続しており、いよいよ上方の窓(17515.68円-17684.66円)を目指す動きとなりそうだ。

日経平均株価推移(日足、10日間)を見てください。 赤くで囲んだところが「強気の包み足」です。

 本日の寄り付きでは、恐怖に怯えた投資家も多かったことだろう。夜中には株価は高かったのに、朝起きたら株価は急落。「いったい何が起こったんだ!」といった感じだ。「また、ドラキか!」ということで納得いくわけだが、結果として心の弱い人安値で売らされてしまったことだろう。「また、やっちまった・・・」と後悔しているに違いない。

日経平均株価推移(15分足、10日間)を見てください。 朝一下げて始まったのが3度目の正直です。 さすがに3度は持ちこたえられなかったのでしょう。

 相場というのは投資家心理と反対に動くもの。――そう言い切って良い。自分の相場観と逆の方向に行くものであり、本日はまさしくそのように動いた。「何でいつも逆をツカれるのか・・・」「もういい加減、イヤになってきた・・・」――そう自暴自棄になっている人も多いはず。そんな人はコンビニ弁当を食べる際、割り箸を取り出すときに、楊枝を何度も指に突き刺しているはずだ。「イタッ、またヤッちまった!」と・・・。

ここが面白い。 確かにコンビニでお箸をもらいあせって封をとくと、つまようじで指を突き刺す経験。ありますよね。

 「食欲」が前面に出ているからである。「お腹すいた。早く食べたい」という気持ちが前に出すぎており、すっかり楊枝が中に入っていることを忘れてしまっている。親指で頂点部分を押し出すとそう、楊枝が見事に飛び出してくるのだ。

本日、失敗した投資家は、頭の中が「欲と恐怖」でいっぱいに詰まっているに違いない。ちょっと前に「脳内診断」というのが流行ったが、その診断だと「欲」「恐怖」「金」などで充満しているということになる。だから失敗するのだ。

理想的な脳内は、「テクニカル」「信頼」「ルール遵守」である。文章としてつなげれば、「テクニカルを信頼し、予め決められたルールを遵守する」である。それができているだろうか・・・。

もちろん、絶対に儲かるなんていう手法はどこにもない。多くの投資家はそれを追い求めているが、そんなものは存在しない。どんなものにもリスクはつきものだからだ。

しかし、せっかくそれに近いものを得ていても、勝手に転んでしまう投資家は実に多い。怖くなって安いところで売ったり、高いところで買い戻してしまうのだ。これでは半永久的に楊枝が指に突き刺さり続けることになるだろう。血まみれ必至だ。

我々は相場に対して、常に「冷静沈着」でなければならない。ドラギが何を言おうが、SQがどうだろうが、そして大地震が起こっても、「冷静な判断」を求められる。パニックを起こせば、「相場の死神」がすぐに首を狩りに来るのだ。そういうものなのである。

では、あなたが本当に冷静かどうか。ここで簡単なクイズを出すことにする。

Q:「いま3人で2つのりんごを食べようとしている。ナイフは1回しか使えない。均等に食べるためにはどのようにしたら良いか?」

正解はあえて表記しない。正解が分かったときに、あなたは投資家として一歩前進しているに違いない。

黒岩泰  株価予想の絶対的な法則「窓・壁・軸理論」の提唱者 株式会社黒岩アセットマネジメント代表取締役。株式・先物・オプションで完全成功報酬制の助言業務を行う。主な著書は「究極のテクニカル分析」「黒岩流~窓・壁・軸理論」他。埼玉県生まれ、慶応義塾大学経済学部卒

いかがですか?

株式の売買をやらない方でも一度や二度、賭け事をしたことがあるでしょう。 どこで勝負にでるか、心が強気なときと弱気なときでは、その決断も違ってきます。 弱気の時は決断が鈍ることもあります。

今回の株価ように日替わりシーソーみたいな状況に置かれると、経験則から「またか」といやになり怯えがでて弱気が頭をかすめます。 人の心理としては無理ないのでしょうね。

しかし、自分の方針を持ち、冷静にその場を判断できるマインドがあれば、自ずと結果は変わってきます。

どちらも勝負事だから、「時の運」ということじゃないの?という人がいるかもしれません。

違います。

前者は、意思も不確かで迷いの中で、決断は状況に流されています。一喜一憂という言葉がぴったりで、一瞬の大喜びか大きなグチとして返ってくるだけです。

しかし、後者は、どちらに転んでも自分の意思と決断で決めたことですから、反省はしても後悔はありません。 次に活かすことができるのですね。

さて、あなたは、どちらの心理を支持して勝負をしますか?

ちなみに。株式投資の世界では、上記の二つを明確に切り分けています。

一喜一憂する世界が、「投機」(ばくち)の世界です。

冷静沈着にルールを持って臨む世界が、「トレード」もしくは「投資」の世界です。

この説明は、専門家ではないので、他に譲るとして、私は後者の生き方をおススメします。

|ルールと信念は怯えを凌駕する!

人は喜怒哀楽、一喜一憂がある、とても人間らしく、心の裏表がないように思いますよね。

じゃあ、冷静沈着にルールを持って判断することが、そうではないのでしょうか?

どちらも人間らしいと思うのです。

違いは何なのか、というと、

決断するタイミングと状況ではないでしょうか。

分かりやすく言うと、

情緒的な人は、その情緒の中で判断し決断をします。 その結果が訪れるまで一喜一憂しています。

一方、ルールを持った冷静な人は、決して情緒の中で判断をしません。 自分のルール(ものさし)の中で判断します。 そして結果が出るまでそのことについて喜怒哀楽を押し殺します。 結果がでて初めて、一喜一憂になるのです。

ビジネスや投資におけるメンタルを鍛えることは、とてもストレスがかかると思いますが、これには日ごろの訓練の積み重ねが重要でしょう。

変化に対応しても、生き方や信条という心はぶれない」 そうありたいものです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。