1月29日付のイギリスの経済紙日刊紙、フィナンシャルタイムスに、「アップル」の機密プロジェクトの記事が載っていました。

January 29, 2016 【Apple builds secret team to kick-start virtual reality effort】 Apple has assembled a large team of experts in virtual and augmented reality and built prototypes of headsets that…Tim Bradshaw in San Francisco

FacebookやGoogleに続いて、Appleの最新の機密プロジェクトは、VR(仮想現実、virtual reality )参入に取り組むものかもしれない、という記事です。 その内容というのが、

AppleがVR市場に参入か?

アップルCEOがQ1決算発表で語ったこと–中国市場や仮想現実についての気になる6発言 Financial Times(FT)によると、Appleは、VRと拡張現実(AR)に注力する秘密の研究グループを編成したといいます。

何百人もの従業員で構成された同社のチームは、数カ月間にわたってヘッドセットの試作品の開発を続けてきた、とFTは報じています。 この報道に先立つ米国時間1月26日、Appleの最高経営責任者(CEO)を務めるTim Cook氏は電話会議の中で、VRへの関心を示唆する発言をしていました。 アップル、「iPhone」用のワイヤレス充電技術を開発中か ?! Cook氏は会議で次のように述べました。「VRをニッチだとは思わない。とてもクールだし、面白いアプリケーションもある」 Appleにコメントを求めましたが、今のところ回答はないそうです。

FTは匿名の情報筋の話として、Appleが、「慎重に狙いを定めた一連の買収」を通じて極秘VRチームを編成したと報じました。同社の買収対象となる最新の企業は、AR関係の新興企業Flyby Mediaだといいます。Flyby Mediaは、モバイル機器が周囲の世界を「見える」ようにする技術を開発しました。 Appleは2016年1月、顔の表情から感情を読み取ることのできる技術を専門とするEmotientも買収しました。

報道によると、Appleの研究チームには、Microsoftや新興のカメラメーカーLytroなど、VRヘッドセットに取り組む企業から「引き抜かれた」従業員も含まれるといいます。FTは1月22日、Appleがバージニア工科大学教授で、米国におけるVRとARの研究をリードするDoug Bowman氏を雇用したと報じました。

VRだのARだの頭文字の短縮形は少し苦手なのですが、今回はすこしお付き合いください。

 VRは「現実」の世界を操る技術

そもそもどうしてこの話題を取り上げたか?

VRやARなる言葉はしょっちゅう聞く言葉ではありませんが、これらの技術がようやく私たちの世界を変えるような領域まで進歩してきたからです。 VRは、バーチャルリアリティ、日本語でいうと仮想現実、CGとサウンドによってリアルな仮想空間を作り出す技術のことを指します。映画「マトリックス」で体験したような世界です。

この技術は昔からありまして、1990年代には、任天堂やセガといったビデオゲームメーカーが、3D映像に精力的に取り組んでいました。しかし、成績はあまり上がらず市場で華々しいヒットとはいっていません。 そんな裏側で、VR技術は地道な進化を続けていました。2000年代後半になると、その進化ぶりがメディアでも取り上げられるようになっています。

たとえば2007年、リアルタイムの3D映像に触ることができる『Tangible-3D技術』が登場しました。片方の人間しかその効果を感じることはできなかったようですが、遠隔地とリアルタイムで仮想的に握手をすることはできるようになったのですね。 そして今、VR技術はさらに進化してきました。『バーチャルボーイ』が家庭用ゲームに導入してから約20年、ヘッドマウントディスプレイはいまや主流のものとなりました。現在のVRを体験するには、まずはこれを装着する必要があります。 ヘッドマウントディスプレイにはセンサーが内蔵されており、頭の向きや動きに応じて映像がリアルタイムで追従するようになっています。くわえてヘッドホンを装着すれば、VRの世界に完全に没入できるというわけです。 専用のデバイスは個人でも最近は簡単に入手できますし、またVR用のコンテンツもネットでダウンロードできるようになっています。

このようにハードルが下がってきたことも、VR技術の進歩ぶりを如実に示しているといえるでしょう。 VRは主にエンターテインメントの分野で進化を続けています。しかし海外では、この技術をさらに異なる方向に役立てる動きがあります。

 『VRジャーナリズム』の取り組み

ソーシャルな問題を疑似体験することによって、体験者に問題提起を投げかける『VRジャーナリズム』 ここでは、VRをとおして街で起こる突然の出来事を疑似体験してもらい、その時の状況把握や自分自身の行動、さらには周りの人の反応などを知ることができます。 

例えば、「突然人が倒れ救急処置をしなければならない状況」、「歩いていると突然火事を発見し、取るべき行動」、「街で突然の災害が発生したときに状況に合わせた判断ができるか」、「突然デモに遭遇し、身動きが取れない状況になる」などです。単なるビデオ教材で学習したり、机上でシミュレーションを繰り返すよりも、実際に体験したかのごとく自分自身をその状況へ遭遇させることができる技術は、顕在的記憶だけではなく潜在意識に届く記憶になります。

VRは、『体験者をとても安全に別の空間につないで、普段とはまるで違う人間にする』ものであり、そして体験者に『共感』をもたらすことがVRの可能性だといいます。

このようにVRは、私たちからは遠くて見えない(と思っている)問題をすぐ目の前に引き寄せてくることができます。もっともこれは受動的な『疑似体験』に過ぎず、どんなに拳を振り上げても現地のデモに影響を与えたりすることはできません。

テーマパークのアトラクションも3Dを使って、この手のVRが盛んに利用されるようになりました。 ただし、今のアトラクションでは、参加者全員が同じ画面を見て、同じ体験で同じ行動をとることになります。まだ一方向だけから与えられた仮想現実です。その状況の中で他人からの影響は受けていません。状況は起こること以外に、その場に居合わせた人たちの様々な行動によって状況は変わってきます。

ということは、一人じゃなく、十人にヘッドセットを付けてみたらどうなるか。

参加する全員が、おのおの別々のヘッドセットを被って、一つの状況に遭遇するようにします。 そのおのおのの意思によってVR上の動きが変わってくるんです。 ある人は、人を助けようとし、ある人は警察へ電話したり、ある人はその場を離れようとするかもしれません。

 AR(拡張現実)という現実の情報付加価値を増やす技術

この時に利用できる技術として、AR(拡張現実、Augmented Reality)があります。

代表的なデバイスが、物議をかもし、発売を中止した「Google Glass」ですね。レンズ越しに動画を見たり、ナビを表示させる事が出来るウェアラブルデバイスです。また、かつて人気を博した「セカイカメラ」や、夜空にかざすと星座を確認する事が出来る「星座表」などがあります。

セカイカメラは、発想は面白かったのですが、使う立場に立ってみるとその価値はあまりにもお粗末でした。 その場所でスマホのカメラをかざさないといけません、ちょっと恥ずかしいのといちいち面倒くさい。二つ目は、観光など初めての場所なら使ってみようかと思いますが、通ったことがあるいつもの道ではあまり必要ないし、三つめ、それ以上に張られたタグに陳腐な情報が多くまざってしまうことも。 つまり、使い勝手が悪かったのですね。

しかし、現実の世界に情報を付加し、センサーやデバイスを進化させることによって、VRとARの合体したことによる利用範囲拡大の可能性は大きく膨らむと思うのですよ。 どうしてかっていいますと、 アップルは、コンテンツだけでなくハードを売っていきたいのですよね。 そのハードは、シンプルかつ多機能であればあるほどすぐれたデバイスとして世界中に売れていきます。

単体デバイスで「おもしろい世界」を実現するにはコスト的にも形状的にも難しいとしたら、あとは得意のアッセンブリですよね。 組み合わせですよ。

 SR(代替現実)という現実を過去へすり替える技術

さらにもうひとつ、SR(代替現実、Substitutional Reality)の世界があります。

また、これが面白いのですね。 これについては、言葉で説明するより次の動画を見ていただいたほうが分かりやすいと思います。

(出典:理化学研究所の藤井直敬氏が研究しているシステムです)

体験者は、現実と過去に撮られた映像との区別がつかず、不思議な世界を体験することになります。 これにはあくまでもヘッドセットの中だけで起こることですから、現実の世界も見えているデバイスですと、実際の現実と過去映像との制御をどうするかが課題ですね。 いま、そこに居ない人、しかし、同じ環境化で過去撮影された動画であれば、未来デバイスのフィルターを通せば、「今」という同じ時空にいることと同じになります。 すこし、スピリチュアル的ですが、過去の次元と現在の次元がクロスするパラレルワールド状態になるのですね。

  「AR(拡張現実)」のデバイスに「VR(仮想現実)」の技術を盛り込み、そこに「SR( 代替現実)」の技術まで付加すると、これはとんでもない世界が実現することになります。

 VRとARとSRのコラボ

例えば、どういうことができるかというと、

A君「今日はお休みなので、4時間ほどロサンゼルスに旅行してみようか。」

B君「いいね。一緒に行くよ。i-phoneはいつも持っているけど、AR-VR-SRヘッドセット忘れないようにしないと。」

A君「ああ。ツアーのコンテンツは僕が用意するよ。サーフィンもしたいよね」

彼らは、その日部屋に集まり、各々ヘッドセットをしてロサンゼルスを体験し、サーフィンまでバーチャル体験します。

翌日、別のC君が、「僕も行きたかったな」というと、 A君「いいよ、バックアップしているから、今度の休みに体験したら。3人一緒だからさらに楽しいぞ!」

そこでは、SRの技術を応用して、A君とB君の過去の体験とこれからのC君の体験をミックスするんです。まあ、こうなるとどれが現実でどれが過去なのかは分かんなくなってきますが。 

ましてや、そこに居るはずもないA君とB君と一緒に旅ができるのですからさらにややこしいです。 しかし、とってもエキサイティングではないでしょうか?  

 

またこんなことも考えられます。

「自動運転車のシェアカーにi-phoneをセットします。 

すると記憶されたMY過去の運転データが車のAIから映像かつ言葉の情報として帰ってきます。

そのシェアカーは、いつものコンビニによって指定したルートを通って、目的地へ向かいます。

私は、入院している家族のためにあらかじめセットした眼鏡デバイスをかけておきます。

病院にいる家族といっしょに語らいながら楽しいドライブを楽しみました。」 なんて。

 

~ まとめ ~

創造をたくましくすると、まだまだいろいろなアイデアが浮かんでくることでしょう。

どちらにせよ、「現実」の世界に、「仮想」世界を入れ、情報を「拡張」して、必要に応じて「代替」世界を挟み込む。 ちょっと、ぞくぞくしますが、是非体験してみたい世界ですね。

AI(人工知能)の発展と同じくして進化していく、今後世界を変える技術です。

「今が一番、リアルだけすべて」とお叱りを受けることがあるかもしれません。しかし、必ず必要とする人や求められる分野があるはずです。

期待しましょう。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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