何かにお金を使うとき「買ってもいいな」と思う瞬間はどんなとき?

「そりゃ、欲しくてたまらないときや、買わないとしょうがないときでしょう。 それについつい衝動買いってこともあるわね。」

確かにそうですよね。

人はすべて、欲求を満たすためや、不足を補うために「買う」という行動に踏み切ります。 すべて欲求といっても過言ではないでしょう。

人間は五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を満足させたい、不足(衣食住と知識)を補いたいというものにお金を払います。 それに人や社会のためのお金を提供することもあります。

①食べる ②着る ③住む ④情報 ⑤社会 、これらのシーンではどのような基準で”お金を払ってもいい”と感じるのでしょう?

 

|損をしたくない人の心理(プロスペクト理論)

ここに行動経済学の中にプロスペクト理論というものがあります。 これは投資の世界でよく使われる言葉なのですが、心理学的要素が強い理論なので、応用することでマーケテイングにも活用することができます。

人は利益を得る場面ではリスク回避を優先し、反対に損失を被る場面では損失を可能な限り回避しようとする傾向があるという心理学理論です。

つまり、これは儲かっていると判断したときは損しない方を選択しますが、

損が膨らんできたときは、損を取り戻そうと頑張ってしまう心理のことをいってるんです。

 

よく使われる例を挙げてみましょう。

☑ あなたが宝くじで100万円当たりました。 換金に行くとA・Bの2つの箱があってAを引いたら200万円、Bを引いてしまったら0円で没収される、ギャンブルの誘いがあるとしましょう。

さて、あなたはどうしますか?

この理論では、当然ほとんどの人が100万円を選択します。 そのようなギャンブルして0円になったら元も子も無いと思うからです。

 

それでは、この場合ではどうでしょう。

☑ あなたが200万円の借金をしています。 ここでも100万円が確実に手に入るという条件で、同じようにAの200万円かBの0円かの選択ギャンブルを勧められました。

さてあなたはどうしますか?

この場合には、ほとんどの人は200万円借金が相殺できるならと考え、ギャンブルを選択するというものです。

株式投資の例に置き換えてみますと、これは「利小損大」といわれるのですが、

ものすごく人の心理を突いています。

 

例えば100万円で株式を買ったとしましょう。

その株が10%上がって今10万円儲かっています。翌日から下げ始めるかもしれないと慌てて利益の確定をします。

一方、100万円の株式が10%下がって10万円損しているとします。人はなんとか損を取り戻そうとしてその株式を放置してしまうのです。

つまり、「利益が出たと早めに確定させ、損失を抱えたら株を放置してしまう」これじゃ利益が小さく損失は多きいという残念な結果になるんですね。 人によっては、長期投資だから俗にいう「塩漬け株」でもいいんだという方がいます。 しかし仮にも投資として考えているのならば避けたいものです。

 

|比較対象によって価値は変わる(レファレンス・ポイント)

話は冒頭にもどって、「お金を払う」という決断を下すとき、人はその商品と似かよった何かと必ず比べています。

それは、経験であったり、事前の情報であったり、販売時にオファーされた対象との比較であったりと、何かと参照点(レファレンス・ポイント)を持っているんですね。 そうでなければ、お金と物の価値を比較することはできません。

さきほどの株式の場合ですと、儲かっているときの比較対象は100万円ではなく10万円という儲け金額そのものです。しかし、損をしているときは元の100万円という元金にフォーカスがいき、損失感が増大してしまうのです。

ここ最近のケースから、比較対象によって価値が変わる例を挙げてみましょう。

 

|GU(ジーユー)の990円ジーンズ

ここまでグローバル企業として大きくなったユニクロ。 最近の消費動向もあり利益率を落としているようですが、価格戦略においてユニクロよりさらに低価格ブランドのGUを2009年に立ち上げたときの目玉が「990円ジーンズ」でした。

ユニクロのジーンズはもともと3,990円で売られていました。土日のセールでは2,990円で売り出していましたが、競合他社が1,000円を切るジーンズを打ち出してきました。 ドン・キホーテの690円を最安値に、「ジーンズが690円?」とほんと驚いたものです。

ディスカウントで勝負する同社ならマーケティング戦略的には必須というか十分意識されるものも、GMS(イオンイトーヨーカドー)が低価格に挑戦するというのは戦略的にどうかと思います。

理由は簡単、イオンやイトーヨーカドーの顧客はそこまでの低価格を求めているのかということです。 着れればいいという価値観が果たして多くの日本人にあるかというと、はなはだ疑問です。 ましてや、食品部門を抱える大手スーパーが、その品質をどこまで担保しているかはとても重要なことではないでしょうか。

しかし、それまで日本の消費者にとってジーンズといえば、その丈夫さからだれでも1~2本は持っています。 価格は、こだわりのリーやリーバイスが有名でしたがの数万円するビンテージものから一般のジーンズでも数千円が相場でした。

GUが990円ジーンズを売り出すことによって、比較対象となるジーンズのレファレンス・ポイントが数百円までシフトしていったことになります。 俗にいう「価格破壊」です

しかし、一方では価値を持ったジーンズもしっかり消費者の心を捉えています。

以前紹介した「オイカワデニム」がいい例です。 1本25,000円前後するジーンズが「奇跡のジーンズ」として価値を持ったことで、人気が表に引き出されました。

その記事はこちら ⇒ 「オイカワデニム、世界に発信する気仙沼の誇り!一本買っとく!」

 

|比較対象は同業種とは限らない

人が価値を比較するときに、必ずしも同業者や同一品種の「価格」や「サービス」だけとは限りません。

どういうことかというと、

価値を訴求するとき、その商品とまったく関係ない商品と比較するという方法があります。

つまり、「想定外の価値あるライバル商品」と比較するというものです。

 

例えば、「無農薬トマト」の良さを知ってもらいたいとき、そして是非試してもらいたいとき。

トマトの価値は、「栄養」「見た目大きさ」「糖度」「完熟度」です。

通販のコピーを見ても

・村の自然が育むトマト

・甘味と酸味が調和バランスタイプの糖度08

・トマト栽培を始めて年の積み重ね

・美味しくてカラダが喜ぶトマト作り

・完熟ギリギリで採ることにこだわったトマト

・栽培から生育までを大公開 など

商品そのものを説明や他のトマトとの違いを説明するものが多いのです。 これだけでは、「そうか!」と納得しないときに、「そうかもしれない!と顧客へ伝わりやすい別の尺度を与えてあげます。

 

それが、美味しさと甘さの格別さを例えるときに、別の世界の商品と比べてみるという手です。

・ライバルは高級スイーツ、是非比べてみてください!

・完熟トマトの糖度は10、さつまいもの甘さと同じです!

・糖度10、イチゴとトマトどちらを選ぶ!

これ以外にも様々な方法でレファレンスポイント(参照点)を想定できます。

・このベットは30万円いたしますが、10年以上ご利用できます。
時間に換算すると1日当り250円で快眠をお約束できます。

など、時間を価値に変えることもできます。

時間は、すべての人や企業に与えられた共通する物差しですから、価値観を創造する視点としてはインパクトがあります。

 

~ まとめ ~

「誰に何を売るのか」、そのときに買い手である顧客が比較対象とするものは何か

そこを顧客の視点でしっかり考えることです。

ここを自分本位の価値基準で判断すると、顧客の反発を買ったり、戦略を見誤ってしまったりします。 これを知るか知らないかは大きな差が生まれます。

セールスレターを書くことから、企業の顧客戦略まで、あらゆるマーケティングにおいてこのレファレンス・ポイントという視点は外せないですね。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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