「あなたの話はわかりにくい」
「何を言いたいのですか」

こんな言葉を聴く相手から投げかけられたことはありませんか?

自分では一生懸命説明しようと努力しているのですが伝わらない、
挙句の果ては、「あの人の話は難しいんだから、ほとんど聞いてないよ」
と後から言われる始末です。

本人は、ロジカルに話しているつもりなのに。
残念ですよね。

では、何が足りないのでしょうか?

そのキーワードは、「要するに」と「例えば」、

その使い方だというのです。

「要するに」と「例えば」の効果

「要するに」と「例えば」は、
「人に何かを伝えるとき」に強力なツールとなります。
また、「ロジカルにものを考えるとき」にもこれは有効なんです。

伝える力に有効

まず、「話がわかりにくい」ということについて考えてみましょう。

上司が部下にこう仕事をお願いしたとしましょう。

上司 「来週から展示会です。 皆さんも仕事が溜まっていると思います。
お客様からも問い合わせが増えます。質問も多く出るかもしれません。
事前にあった質問はみなさんで共有しておいてください。
みんなで頑張っていかなければなりませんので、お願いします。」

ここで部下に突っ込まれました。

部下 「要するにどういうことですか? どうすればいいんです?」と。

ぐだくだ回りくどく事柄をならべるほど、何を言いたいのか分からなくなります。

ここで登場するのが、「要するに」です。

部下 「要するに、来週から新しい仕事があるので残業してでも今の仕事を片付けておけ!
問い合わせはしっかり書き留め、コピーを取っておけ! そういうことですね。」

そういうことなんです。

そして上司はさらにこう付け加えました。

上司 「重ねて言いますが、大事なお問合せは皆さんで共有しておいてください。」

部下がこう切り返しました。

部下 「例えば、朝礼後にミーティングを開いて、各自が受けた質問を検討するだとか、
社内SNSに登録してお互い気が付いたことをコメントするなど、そういうことですか?」

ここで登場するのが、「例えば」です。

具体的に何をすればいいのか、わかりやすく伝えるためには、身近な例を出すことです。

ロジカルに考えるときにも有効

伝えるときに有効な「要するに」と「例えば」は、
ロジカルにものを考えるときにも有効なんですね。

「要するに」は、与えたれた事象を説明するとき、
その「本質をつかまえ」、それは「いったい何なのか」を端的に表現することにつながります。

これは典型的なロジカルシンキングです。

先ほどの例ですと、
上司はロジカルにこう順次考えてから発言すべきでした。

・来週は展示会という大事なイベントがある
・大事な顧客から事前に質問が舞い込んでくる

・成功させるためには何が必要か

・担当者全員でイベントに注力する必要がある
・顧客の信頼を勝ち得るために十分準備する

・具体的には例えば何をすればいいか

・そのためには現在の仕事を片付けておくのが懸命
・お互い手伝いもするが、残業も必要ならやる
・事前の質問をミーティングで共有し準備しておく

このように、「要するに」と「例えば」を繰り返して考えるくせをつけましょう。

実はマーケティング的にも有効

顧客へ商品を紹介したり、サービスの良さを伝えたりする場合、
抽象的な表現やただただ感嘆文で「すごい」と表現するのではものたりないです。

どうして「すごい」のか。 どのように「素敵なのか」が伝わってこないからです。

例えば、ソファーを勧めるのに、

✖店員 「お客さま、このベッド、とても寝心地がよくて色も素材も素晴らしいですよ。」

これでは、どう気持ちよく、どう素晴らしいのかは皆目見当つきませんよね。
聞く人は「ふ~ん、素晴らしいんだ。」ぐらいの感想です。 実感が湧きません。

マーケティングの世界では、神田昌典氏が提唱したPASONAの法則にあるように、
顧客の問題を明確化したあとは親近感を持ってもらうよう働きかけていくことが重要です。

顧客が新しい部屋にソファーを新調したいという欲求を明確化できたなら、
次は、顧客と同じ痛みや同じ望みを持っていることを、
ストーリーや五感を通じて伝えていくことが大事になってきます。

店員 「お客様、例えばこのベッドの寝心地は、
まるでふかふかの芝生の上で大の字になったときのようです。
大地から支えられたようなしっかりとした安心感と開放的な気分にさせてくれます。
フレームの素材は木製で、天然無垢材さながらの厚手の突き板ですから、
木目の表情や風合いが活かされ、森の木々に包まれているような感覚です。」

「要はこういうことです。」と「例えば」を加えて、実感が湧くようなまとめ方をしてみましょう。

「要するに」と「例えば」をいつも訓練しよう

自分がまとめたいコト、伝えたいコト、説得するコト、
その内容を、「要するに(要は)」と、そのエッセンス(肝心な点)を常にまとめましょう。

そして、「例えば」という身近でわかりやすい具体的なたとえに置き換えてみましょう。

これをことあるごと繰り返すことによって、ロジカルシンキングが深まっていくはずです。

この2つの言葉は、切り出し言葉としても話を引き付けますし、
冒頭でふれた、「わかりにくいよね」などの残念な結末にはならないと思います。
「要するに」と「例えば」は、納得させるための魔法の言葉なんですね。

ただし、この「要するに」の内容が微妙にズレていたり、
「例えば」で出した例がこれまたズレていたりすると、
逆に信頼感が失われ、大丈夫かい、と不安がられます。

話が違う方向へいってないか、例えばの例は適切かなど、
普段から検証する癖を付けておきましょう。

あなたのロジカルシンキングは飛躍的に進化するはずです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!