ロジカルシンキングの第1回目は、「まずは難しく考えるな、思いつきでもいいから始めよう」はロジカルシンキングの出発点だ、というお話をしました。

そう、課題の完璧な解決策をすぐに見つられなくてもいいのです。

られた状況やそこから発生している問題点をまずは整理し、解決のアイデアを「思いつき」でもいいから多く出していくことによって、初期の仮説は、だんだんと解決策へ向かって進化していきます。

重要なポイントなのですが、私たちは論理的であるために論理思考(ロジカルシンキング)するのではなく、ものごとを前に進めるために論理思考するわけです。

そして、 冷静そうに「できるか? できないか? 」というきわめてニュートラルな姿勢で臨むのか。
少し前向きに「やれるはずだ。その方法を絶対考え出す」というポジティブな姿勢 で臨むのか。

この二つの違いは大きいです。

実は、結果を出せるのは、後者のポジティブな姿勢で臨むことなのですね。

冷静なるポジティブ思考とは!

では、今回はそのポジティブシンキングについて考えてみましょう。

前回も話しましたように、とにかく「できるか?できないか?」ということは、とりあえずはしょって、「やれるはずだ。こうだ。こうなんだ。」とまずは決めてしまいましょう。

けっして楽観的に捉えているのではありません。 楽観的では見通しが甘くなり実現できないかもしれません。 「こうなんだ」と言ったうえで、そう実現できるように考え続け、行動していく。 そういう冷静なるポジティブ思考です。

 物事には両面ある

物事を捉えるとき、その事実は常に二面性の意味合いを持っています。 事象が絡み合いますと、さらに複数の意味合いへ膨れていきます。

コインでいうと裏と表があり、コインの種類によってその組み合わせは複数になっていくようなものです。 これが人間関係ですと、恋人同士の二人の間では、「好きか、嫌いか」だけですが、そこには様々なお互いの条件が横たわっているかもしれません。

例えば、親や兄弟がいるかいないか、その折り合いはどうか、将来は面倒をみなければいけないかなど。 今の仕事や趣味を続けられるかどうか、辞めなければならないかもしれないなど。 お互いの年齢や歳の差を気にしてしまう。 ましてや、再婚で相手に子供がいるとしたら、もっと気を使わなければいけなくなります。

そこには、とても厳しい状況があるかもしれません。 何もかも無視して自分たちのことだけを考え行動するには、後であまりにも後悔することが多すぎるような場合があります。 しかしながら、添遂げるには課題を整理し、二人は幸せに向かって決断する必要があります。 そのような時、大事なことが「冷静なるポジティブシンキング」です。

「結婚できるかできないか」は考えません。「結婚する」とまずは決めちゃいます。

前回の記事のように、決めたらみんなに祝福してもらえるように周りの状況を整理します。 結婚の障害となるような問題点を整理します。 無ければ、勇気を出してプロポーズするだけですが、不安や問題があるのなら、キチンと整理してみましょう。 それを避けて通ると、偏りや歪が起こり、結婚を強行できても、問題を先送りしただけになります。

何がポジティブかといいますと、問題を解決して前へ進もうとすること自体がポジティブなんですね。 これを一つずつ整理して、クリアしていくからこそ、「冷静なるポジティブ思考」なのです。

 シミュレーションしてみよう

物事には常にいくつかの面があるといいました。

もし、結婚できずに分かれてしまったという事実になると、辛くさびしい現実ですよね。 しかし、反対に、これから新しい出会いへのスタートという面も持っているわけです。 「別れは辛いが、出会いの始まり」と捉える、事実が持っているポジティブな意味合いを読み取って、生かしていくことです。

例えば、これからもしリーマンショックの再来のような出来事が起きたとしましょう。 社会的な面から見みますと、大変な思いをする人たちが大幅に増えることになります。 ことが起きれば、問題が大きくなるというネガティブな面は、もちろん持っていますが、ポジティブな面も多く持っているはずです。

 再び大不況が訪れたら!

これを考えてみたいと思います。

大不況が起こらなくとも、企業の倒産や失業は起こります。 では、2008年のリーマンショックを境に変化していった状況を見てください。

倒産件数と負債総額、それに出来事と首相、見てみましょう、

  • 2007(H19)年 14,091   5,727,948  原油高、食品偽装相次ぐ、民営郵政スタート、気温40.9度・史上最高更新、「三角合併」解禁 <福田 康夫 >
  • 2008(H20)年 15,646  12,291,953  上場企業倒産33件、洞爺湖サミット開催、原油・原材料高、世界的金融危機 <麻生 太郎 >
  • 2009(H21)年 15,480   6,930,074  緊急保証制度効果、3年5カ月ぶりのデフレ認定、新型インフルエンザ流行、総選挙政権交代 <鳩山 由紀夫 >
  • 2010(H22)年 13,321   7,160,773  観測史上最も暑い夏、15年半ぶりに1ドル=80円台の円高、宮崎県で口蹄疫発生、日本航空が会社更生法申請 <菅 直人>
  • 2011(H23)年 12,734   3,592,920  東日本大震災、福島第一原発事故、37年ぶり電力使用制限令、円高が戦後最高値更新、地デジ移行 <野田 佳彦>
  • 2012(H24)年 12,124   3,834,563  社会保障・税一体改革関連法成立、東京スカイツリー開業、貿易収支赤字続く、総選挙政権交代 <安倍 晋三>
  • 2013(H25)年 10,855   2,782,347  アベノミクス効果、円安、株高、日銀の異次元金融緩和、2020年東京五輪開催決定 <安倍 晋三 >
  • 2014(H26)年 9,731   1,874,065  消費税8%、日銀が追加緩和、総選挙、御嶽山噴火、広島土砂災害 <安倍 晋三>
  • 2015(H27)年 8,812   2,112,382  環太平洋連携協定(TPP)大筋合意、北陸新幹線開業、郵政3社上場、訪日客過去最多更新、爆買いに沸く <安倍 晋三>
  • 失業率2007年(3.83) 2008年(3.98) 2009年(5.08) 2010年(5.06) 2011年(4.58) 2012年(4.33) 2013年(4.02) 2014年(3.58) 2015年(3.51)

倒産件数や負債総額は増え、翌年から失業率も上昇しています。

株式は、日経平均株価が2007年2月につけた高値1万8300円から下降トレンドだったとはいえ、リーマンショックの2008年9月15日以降の翌月10月には、6,994円の底値を付けました。 それからアベノミクスが発表される2012年11月から徐々に回復し、2015年6月には2万952円の高値を付けました。 2016年に入り、年初冒頭から大きな下げを記録し、乱高下を繰り返しながら現在では1万6千円前後を彷徨っています。

また、円安で潤ていた輸出関連企業は、好決算で最高益を出す企業が続出しましたが、ここにきてリスクオフの円高に晒され失速しそうな雲行きです。 原油先物は30ドルを切り20ドル台を今年記録しました。 中国経済は減速域に入り、経済指標の不透明さから不安視されています。 またEUでは、ギリシャの債務危機からドイツのVW、さらにはドイツ銀行不安が発生してます。 グローバル経済の中、あらゆるものが連動しており、巨額マネーが有利な市場を目指して移動するという、ほんとうに先が見えない状況となっています。 さらにISや中東問題や、さらには北朝鮮までもが世界を挑発するという事態になっています。

国内に目を向ければ、与野党とも夏の参議院選挙や衆議院解散にともなう同一選挙も取りざたされる中、甘利大臣辞任、議員の不倫お騒がせ問題や議員失言問題のドタバタなどでアベノミクスも失速ぎみです。

これほど、ネガティブな話題が多い中、明るい話題は無いのかと探してみましが、バランス的には極めて少ないでしょう。

 宇宙の法則を知る

ここからはちょっと我慢して聞いてくださいね。

世の中はバランスで構成されています。 宇宙の真理は、当然エネルギー保存の法則、熱化学的にいいますと熱力学の第1法則に従っていると個人的には思っています。 閉じていればの話ですが。 例えば、密閉された魔法瓶を考えてください。 外部と断絶されると、エネルギーの総量は変化しませんから、温度は保たれます。 マクロで考えれば、宇宙は全体としてエネルギー不変です。 ネガティブな現象もいずれポジティブな現象へと変化し、均衡を保つようになるはずです。

しかし、どうでしょう! 地球としては閉じられていても、ミクロになればなるほどどうも世界は閉じられた世界では無いようですね。

私的には、神、創造主、人間、万物が生成発展(複雑化:エントロピー増加  熱力学第2法則)するように世の中が創られていると思います。

万物は何らかのエネルギーでできていて、熱的な振動を保っているというならば、それは熱力学の方則に従うはずですから、つまり宇宙は全体として、マクロで考えればエネルギー不変です。 さきほども説明しました熱力学の第1法則ですね。

また、万物は、前述のようにエントロピー増大(熱力学の第2法則)の方向に向かっていて、エネルギー的は平衡状態になるまで、最終的にエネルギーが完全に均一化されるまで続きます。 つまりエネルギー的な不均衡こそが万物流転(=現象)の原動力とであり、このエネルギー的な較差があるから、エネルギーは順方向へ流れ、あらゆる現象を発生させているに過ぎない(=万物流転)のです。

エネルギーが順方向であれば、幸運と呼ばれる現象が発生し、逆方向であれば不幸な現象が発生します。

幸運とか不幸とは、人間の価値観の中で生まれた言葉に過ぎませんが、現象だけで捉えれば、正反対の性質なのは容易に想像できます。

ネガティブになるから全てがその方向へ流れるのかというと、そうではありません。 必ずポジティブな順方向へ流れる現象もあるのです。 それを考え起こせばいいのです。 不況という大きな流れが来たからこそ、これまで見えなかった幸せへの可逆的な可能性が見えてくるのですね。

 ポジティブ思考の例を考える

ポジティブ思考で捉えるとどうなるでしょう? こんな例がありました。

  • ビジネス(仕事)の面から考えてみます。急速な業績の悪化は業界や企業によっては確かに深刻であると思います。 しかしこの状況をポジティブに取り、前進している人たちもいます。 例えば、米国へリーダーとして赴任したばかりで、前回の危機に見舞われた友達は「危機にみんなで立ち向かっていく中でむしろチームワークがよくなってきた」と言っていました。 また「こういう状況だからこそ末永くお付き合いしたい取引先がよく見えてくる」と言う中小企業の経営者もいます。
  • ポジティブに捉える意味があるのはマネジメントばかりではありません。「ビジネスがどんどん動いている時に比べて落ち着いて考えることができる」「これまでよりも上司が提案を聞いてくれるようになった」といったこと。 これまで磨いていた力を発揮する機会です。 力を溜めたい人には、残業規制で生まれた時間を自己啓発に使うチャンスです。
  • また、上で挙げた教育や食糧自給(農業)などの領域に興味があったにもかかわらず将来性を悲観して選ばなかった人にはキャリアを改めて考える機会かもしれません。特に今いる業界の見通しが厳しいならば。もちろん生半可な覚悟では成功は難しいでしょうが、改めて考えてみるチャンスではあります。

ここでしっかり考えると、ほかの人とはちょっと行動が違ってきます。 これが大きな差となります。

  • プライベートについてポジティブに考えると、ほかの人と違った行動につながるようになります。 例えば、今までもそうですが不景気になると「先行きが不安」とさらにお金を使うのをセーブする人が多くなると思います。 しかし、本当に欲しいものなら、今はまさに買い時かもしれません。 普通の人はバブルの時にお金を使い、不況の時には買い控えします。 でも、ものが安い不況の時に買い、物価の高いバブルの時はセーブできれば、経済原理性では正解ですよね。 ある程度は余裕がないと難しいことではありますが、例えば視野を拡げるための海外旅行などはほかを節約してでも今、行っておくとよいと思います。

 節約ではなく、倹約を目指そう!

ここで理解していただきたいのですが、「倹約と節約は違う」ということです。

  • つまり、余分なものは買わない使わない、しかし、必要なものには投資する使うと、いう考え方です。 また節約をするにあたっても我慢はしない、考えることでコストを下げ、快適さは下げないのが「ポジティブ・ロジカル・シンカー」です。 このような人のことを「倹約家といいます。

倹約は、「無駄を省いて出費をできるだけ少なくすること」で、お金をなるべく払わないようにすることです。

節約は、「無駄遣いをやめて切りつめること」です。

節約は、せちがらいなどマインド的にもネガティブなイメージですが、倹約は、ロジカルシンキングにぴったりなワクワクする挑戦だと思いませんか。

私たちにとって「本当に必要なものは何なのか?」これをベースに、これから訪れるかもしれない大不況に対して是非ロジカルシンキングしてみてください。

~ まとめ ~

論理的であるために論理思考(ロジカルシンキング)するのではなく、ものごとを前に進めるために論理思考をします。

何がポジティブかといいますと、問題を解決して前へ進もうとすること自体がポジティブなんですね。 これを一つずつ整理して、クリアしていくからこそ、「冷静なるポジティブ思考」なのです。

物事を捉えるとき、その事実は常に二面性の意味合いを持っています。 事象が絡み合いますと、さらに複数の意味合いへ膨れていきます。

物事のエネルギーが順方向であれば、幸運と呼ばれる現象が発生し、逆方向であれば不幸な現象が発生します。 幸運とか不幸とは、人間の価値観の中で生まれた言葉に過ぎませんが、現象だけで捉えれば、正反対の性質なのです。

大きな変化のときは、普段見えなかったものが見えるようになってきます。

例のように、節約家であるより、倹約家になるためのロジカルシンキングを重ねていきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。