日本語って難しいですよね。

普段正しいと思って使っている言葉が、実は違う意味だったということはよくあります。

クイズ番組でその問題が出ない限りはなかなか気が付きません。

話し相手が仮に「間違って使ってるな!」と感じても、
話の前後からありがたくも推察してくれたりしますので、
実際ずばり指摘してくれるのは稀でしょう。

言葉の間違った解釈、ランキング

ということで、

今回は「間違った意味で使われる言葉ランキング」、
上位の言葉を使ってある文章を作ってみました

どう解釈する? 意味を間違いやすい言葉で書いたこの文章

さてさて、あなたはこの文章、どう解釈しますか?

言葉の先頭についているルビの数字は、「間違った意味で使われる言葉」のランキング順位です。

⁴破天荒¹ハッカーである彼は、⁷敷居が高い元働いていた会社を助けることになった。

⁵姑息ではあるがネット上に書かれた誹謗中傷の⁸さわりについてとりあえず書き直しを図った。
²確信犯かもしれないが、³他力本願を旨とする彼の行為は、¹⁶うがった見方をすると、正しい選択だといえる。

一部の文字を企業のキャラクターに変えた行為を⁶失笑する者も出てきたが、⁹なしくずしにすることで、企業イメージは改善されると考えた。
議論は¹³煮詰まり¹⁵絵に描いたような展開に、²⁴浮足立っていた経営層は、¹⁰悪びれる様子もなく、社内に¹²激を飛ばした

ここで¹⁷茶々を入れるつもりはないが、解決後会社へ復帰した彼の課長の肩書は¹⁹役不足だと思う。
仕事に復帰した彼は、自由時間を²⁰割愛しても、²⁶流れに竿さしたのだから、²¹憮然としていた昔より今の方が数倍、²³御の字だろう。

それでは、間違った解釈でこの文章をわかりやすく書き換えてみましょう。

間違った解釈の文章

大胆不敵な非合法ハッカーである彼は、お高くとまっている元勤めていた会社を助けることになった。

卑怯な方法だがネット上に描かれた誹謗中傷箇所の最初だけをとりあえず書き直しを図る。
悪いことをする犯罪行為かもしれないが、誰かがなんとかするだとうと疑い深い彼の選択だ。

一部をマンガキャラに置き換えたりする行為にあきれる者も出てきたが、なるべく曖昧なままの方が企業イメージは改善されると考えた。
会社の議論はなかなか進まず、実効性のないこの計画に大いに期待をよせた経営層は、この位してもどうってことはないというほどの態度は出さずとも、落ち込んでいた社員たちを元気づけた。

からかうつもりはないが、解決後会社へ復帰した彼の課長の肩書は、ちょっと重すぎるんではないか。
仕事に復帰した彼は、自分の時間を捨てても、自分が逆らって招いた結果だから、腹を立てていた昔より今の処遇は十分とはいえないが納得できることだろう。

ではこれを正しい解釈でわかりやすく書き直してみると...。

正しい解釈の文章

画期的なことを成し遂げるネットの達人である彼は、不義理をして行きづらい元の会社を助けることになった。

一時しのぎではあるが、ネット上に描かれた誹謗中傷の要点についてとりあえず書き直しを図った。
たとえ犯罪と思われても正義なのだから、必ず仏の力で救済されると信じ、正しい選択をしたと。

一部をマンガキャラに置き換えたりする行為に思わず笑いだす者も出てきたが、この状況を少しずつ片付けていくことで企業イメージは改善されると考えた。
議論が尽くされ結論がでるほどトントン拍子に進む展開に、不安や恐れで落ち着きを失っていた経営層は、卑屈な態度をとることもなく、社員に向かって励まし元気を促した。

ここでみずをさすつもりはないが、解決後会社へ復帰した彼の課長の肩書は、それ以上であってもおかしくないのでは。
仕事に復帰した彼は、大切な自由時間を削ってでも、流れにのってここまで思い通りに運んだのだから、意気消沈していた昔よりも十分満足できることだろう。

比べてわかること

どうです、こうも内容がヘンテコリンに食い違ってくるんですね。

間違った解釈の文章では、
もともとがネット犯罪者の男が、悪いと知りながら適当に助け、経営者も迎合してしまう。
後の身分も課長などと大それてはいるが、昔を考えたらしかたないかと思っている展開です。

なにか嫌な臭いのするマイナスイメージが漂いますよね。

正しく言葉の意味を解釈すると、
優秀なネット技術者である男が、恩を感じる会社を陰から助け、すばやく事を運んでいく。
社内のムードは良くなり、戻った身分は課長。
もっと重役につけてもいいくらいなのに、それまでを思うと十分だと満足しているんです。

先ほどと全然違って、前向き感といいますか、ポジティブでしょう。

言葉の意味を取り違えるとこんなにも違ってくるんですね。

では、きちんと対比して意味の違いを確認しましょう。

対比して検証してみましょう。

☑ ⁴破天荒¹ハッカーである彼は、⁷敷居が高い元働いていた会社を助けることになった。

✖ ⁴大胆不敵¹システムに侵入し不正行為を行うことが得意である彼は、⁷高級で上品すぎ入りにくいと思っている元働いていた会社を助けることになった。

〇 ⁴誰も成し得なかったことをする¹コンピューターやインターネットの達人である彼は、⁷相手に不義理をし、行きにくいと思っていた元働いていた会社を助けることになった。

☑ ⁵姑息ではあるがネット上に書かれた誹謗中傷の⁸さわりについてとりあえず書き直しを図った。

✖ ⁵ひきょうではあるがネット上に書かれた誹謗中傷の⁸話の最初の部分についてとりあえず書き直しを図った。

〇 ⁵一時しのぎではあるが、ネット上に書かれた⁸話の要点についてとりあえず書き直しを図った。

☑ ²確信犯かもしれないが、³他力本願を旨とする彼の行為は、¹⁶うがった見方をすると、正しい選択だといえる。

✖ ²悪いことであるとわかっていながらする犯罪かもしれないが、³自分で努力するのではなく、他人からの助けに期待することを旨とする彼の行為は、¹⁶物事の本質を疑ってかかると、正しい選択だといえる。

〇 ²信念に基づいて「正しいことだ」と思い込んでする犯罪かもしれないが、³自らの修行などによって悟りを得るのではなく、仏の力によって救済されることを旨とする彼の行為は、¹⁶物事の本質を的確にする見方からすると、正しい選択だといえる。

☑ 一部の文字を企業のキャラクターに変えた行為を⁶失笑する者も出てきたが、⁹なしくずしにすることで、企業イメージは改善されると考えた。

✖ 一部の文字を企業のキャラクターに変えた行為を⁶笑いも出ないくらいあきれる者も出てきたが、⁹物事が曖昧なまま進んでいくことで、企業イメージは改善されると考えた。

〇 一部の文字を企業のキャラクターに変えた行為を⁶思わず笑いだす者も出てきたが、⁹物事を少しずつかたづけていくことにすることで、企業イメージは改善されると考えた。

☑ 議論は¹³煮詰まり¹⁵絵に描いたような展開に、²⁴浮足立っていた経営層は、¹⁰悪びれる様子もなく、社内に¹²激を飛ばした

✖ 議論は¹³行き詰って結論が出せない状態になり¹⁵実現性のない計画や理想の展開に、²⁴ウキウキして落ち着かなくなった経営層は、¹⁰虚勢を張って悪事を働いても悪いと思わない態度をとる様子もなく、社内に¹²活気のない者に刺激を与えて元気づけた

〇 議論は¹³十分に行われ、結論が出る段階に近づき¹⁵典型的な状況へ発展する展開に、²⁴不安や恐れで落ち着きを失い、逃げ腰になっていた経営層は、¹⁰恥ずかしがったり、卑屈な態度をとる様子もなく、社内に¹²主張や考えを人々に知らせて同意を求め、決起をうながした

☑ ここで¹⁷茶々を入れるつもりはないが、解決後会社へ復帰した彼の課長の肩書は¹⁹役不足だと思う。

✖ ここで¹⁷からかうつもりはないが、解決後会社へ復帰した彼の課長の肩書は、¹⁹本人の力量に対して役目が重すぎると思う。

〇 ここで¹⁷みずをさすつもりはないが、解決後会社へ復帰した彼の課長の肩書は¹⁹本人の力量に比べて役目が軽すぎると思う。

☑ 仕事に復帰した彼は、自由時間を²⁰割愛しても、²⁶流れに竿さしたのだから、²¹憮然としていた昔より今の方が数倍、²³御の字だろう。

✖ 仕事に復帰した彼は、自由時間を²⁰不必要なものを捨てても、²⁶時流に逆らって、勢いが失われてしまったのだから、²¹腹を立てていた昔より今の方が数倍、²³十分とはいえないが、納得できることだろう。

〇 仕事に復帰した彼は、自由時間を²⁰惜しいと思うことを思い切って捨てても、²⁶時流に乗って、ものごとが思い通りに遂行したのだから、²¹失望・落胆してどうすることもできないでいた昔より今の方が数倍、²³十分満足できることだろう。

最後に元ネタを

「間違った意味で使われる言葉トップ10」 【小学館『大辞泉』調べ】

順位 間違った意味で使われる言葉 本来と異なる意味
【×誤用】
本来の意味
【〇正解】
使ったことが無い%
1
ハッカー コンピューターに侵入し、不正行為を行う人
77.4
コンピューターやインターネットにくわしい人
12.7
9.9
2
確信犯 悪いことであるとわかっていながらする犯罪
73.0
信念に基づいて「正しいことだ」と思い込んでする犯罪
14.9
12.1
3
他力本願 自分で努力するのでなく、他人からの助けに期待すること
68.8
自らの修行などによって悟りを得るのでなく、仏の力によって救済されること
16.8
14.5
4
破天荒 豪快で大胆不敵なようす
68.3
だれも成し得なかったことをすること
13.8
17.8
5
姑息(な手段) ひきょうであるさま
62.6
一時しのぎであるさま
19.4
18.0
6
失笑する 笑いも出ないくらいあきれる
61.8
思わず笑い出す
26.6
11.6
7
敷居が高い 高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい
61.7
相手に不義理などがあって、その人の家に行きにくい
27.8
10.5
8
(話の)さわり 話の最初の部分
59.1
話の要点
25.8
15.2
9
なしくずし 物事が曖昧なまま進んでいくこと
57.3
物事を少しずつかたづけていくこと。徐々に物事を行うこと
13.9
28.8
10
悪びれる 虚勢を張って悪事を働いても悪いと思わない態度をとる
55.3
恥ずかしがったり、卑屈な態度をとる
25.6
19.1

最後までお読みいただき、ありがとうございます。