今回は、川北義則さんの人生本である「人生はすべて逆を行け」をとり上げてみます。 けっこう前になりますが、この本を本屋さんで手に取ったとき、「それも逆をいくか!」けっこうへそ曲がりじゃない、とその言葉ムリだわ。 それも、逆を行くって言っても「すべてかよ」と、半ば疑いながら一応、目次に目を通しました。 逆といいながら、短いフレーズの中に少し共感も覚えました。 読み進めるうちに、気が付いたら「うなずく」自分がいました。

|人生にとって大事な逆発想の言葉 (4)

ロジカルシンキングという観点からもう一度、この「逆発想」をおさらいしたいと思います。

第4回目は、

16.苦労は買ってでもするべきものか

昔の人は、よくそういいますね。 「苦労は買ってでもしろ」と。 果たしてそうなのでしょうか? それがこの問いかけです。

私の結論は、「できればしない方が良い」です。 何故かというと、答えは単純です。 辛いじゃないですか、それに楽しくもないことに時間を費やされるのはたまりませんので。 しかしちょっと待ってください。 「できれば」という仮定が付いてますよね。 苦労がやってきたらやはり逃げずに受けるのですか? ここの答えは、「はい」ということになります。

何か矛盾してません? しない方がいいといったり、来れば受けるだの、結局は優柔不断なのですね。

それでも敢えていいます。 違います、優柔不断ではありません。

私は、やってきてしまった苦労からは逃げない、と言っているのですね。

今の時代は確かに変化が激しく、思わぬ事態も矢継ぎ早にセットでやってきます。 ですから、苦労を想定して、苦労しないための事前の取捨選択が必要なのです。 それでもやってきた苦労は大いに受けましょう、ということです。 川北さんも言っておられますが、逃げなかった苦労は、必ず将来の糧になります。 その経験は、心を強くし、新たな人生の参考となるはずです。

ロジカルシンキング的に逆を考えると、苦労せず順風しか経験しなかったり、ましてや無風の経験しか無いとしたら、その公開は池か湖でしか通用しないということです。 外海は、風もあり、波もあり、ときたま嵐にも遭遇します。 安全航海を祈り、穏やかな航路をなるべく選択することが事前の取捨選択であって、安全に目的地まで航海するにしても嵐に備え、避けられないときは敢然と立ち向かう勇気が必要です。

その航海が無事成功しますと、私たちはさらに名船長となるのですね。

17.「やる気」に相談してはいけない

こういう会話していませんか? 「何時になったらやるの?」 「うん、まだ、その気になったらやるよ」と。

じっと自分の気分が高まるまで自分の気持ちと相談して物事に当たるタイプと、その状況を判断するや否や自分の取るべき行動を決めてしまうタイプでは、どちらが成功確率が高いでしょう?

結論から言いますと、成功する確率が高いのは、断然後者の「即行動派タイプ」ですね。

まず、「やる気」に相談する人、気分が高まるまで行動しない人は、その次期を逃すかもしれませんし、成功自体やってこないかもしれません。 じっくり考える余裕があるので、十分なる対策が取れ、成功確率が高いように思えますが、人はそれを「一発屋」といいます。

反対に、状況をすぐ判断し即行動する人は、確かに不十分な状態で対処するかもしれません。 しかし、行動から学ぶことで経験は積み重なっていきます。 小さな失敗を繰り返しても即修正しながら目的へ向かって進んでいきます。 時間的な取り組みも早いですから、1度だけではなく何度でも成功していく可能性を秘めています。

あてにならない「やる気」を待つよりも、さっさと「始める」ことの方がどれだけ価値があるかということを知るべきですね。

とは言いながら、なかなか「腰が重い」のが私たちです。 決めたらすぐ「行動」しましょう

18.失敗したときこそ喜びなさい

この教えは、偉大な発見や発明をした人すべてに共通していますね。 これについての名言は多いです。

まずは、有名な発明王エジソンの言葉。「わたしは、決して失望などしない。なぜなら、どんな失敗も、新たな一歩となるからだ

太平洋戦争の連合艦隊司令長官の山本五十六元帥は粋な言葉を残しています。 「人間は神ではない。誤りをすることころに人間味がある」と。

どうです。 一度や二度の失敗はくよくよせずに、この失敗のおかげでまた強くなる、そう思うことが一番なんですね。 神は、すべてに「Yes」と応えるそうです。 「No」は無いそうです。 すべての思いに「Yes」ですから、すべての行いも自分自身が引き寄せた「Yes」なんですね。

ということは、失敗しても「できる、Yes」と信じて、負けずに喜べば、そこでも「Yes」と必ず答えてくれます

ちょっと気が楽になりませんか。

19.皆がうなずくときは疑ってかかれ

これは、まさに人の思いと逆をいくことですね。

ロジカルシンキングの理論に、「PAC思考」というものがあります。 これについてはどこかで説明したいと思いますが、簡単にいうと、前提・事実Premise)、仮定Assumption)、結論Conclusion)の3要素で分析するのがポイントです。 とりわけ重要なのが仮定の立て方です。 その論理の正しさを確かめるため、仮定に反する事実を挙げてみます。 論理的に考えるには、主張の正しさをチェックする必要がありますね。

そこで重要なのが、「結論」の背景にある「前提」と「仮定」を疑ってみて、その妥当性を検証するのです。

相手の主張(結論)は、「前提・事実」および「仮定」の上に成り立っています。 そのどちらかを攻撃して崩れれば、主張は正しくないということになります。 「仮定」を攻撃して崩すのでが一般的ですが、最近は、過去の常識が通用しない時代ですから、「前提・事実」自体の誤りを指摘することで相手の主張を覆せるケースも多くなってきました。

 ある身近な例題から考えてみましょう。

商品部の課長Bさんは、事業部の部長Dさんに、営業合同会議で最近いつも責められています。
「あなたの開発したPB商品は全く売れていない。 もっと他社を研究して機能を増やした新商品を開発投入してください」と。
上のPAC思考を応用してB課長D部長への反論を考えてみてください。

まず、(前提・事実)は、「新商品が売れていない。」
次に、(仮定)は、「新商品が売れていないのは機能が不足しているからだ。」
最後に、(結論)は、「新商品の機能を増やすべきだ」

一般的な「仮定」に対する反論は、「新商品が売れていない理由は、機能が足りないからとは限らないです。陳列量が少ないとか、売り込むためのプロモーションが弱いなど、他にも理由は考えられます」となります。

(前提・事実)に対する反論では、「新商品が売れていない」という前提は本当かということです。 他の事業部では「売れている」という事実を示すことができれば、「機能の問題」ではなく、「売り方の問題」がその結論ではないかとの反論ができます。

これは、ロジカルシンキングの組み立て方法の一例ですが、特に皆がうなずく、全員が一致している、ゆきなだれ式に皆が追随していく、そのような状況は一番臭い。 まずは疑ってかかれ、ということですね。

20.    凡才が天才に勝つ方法

この言葉にも名言がたくさんあります。 これをご紹介した方が早いですね。

イギリスの政治家でありノーベル文学賞をも獲ったウインストン・チャーチル、「力や知性ではなく、地道な努力こそが能力を解き放つ鍵である。」と「努力」の重さを称賛しています。

あのバスケットの天才マイケル・ジョーダンもこう言っています。「誰もが才能を持っている。でも能力を得るには努力が必要だ。」と。

我らのノーベル物理学賞を獲ったあのアインシュタイン先生は、「天才とは努力する凡才のことである。」と端的におっしゃっています。

かの彫刻家ミケランジェロは、天才と呼ぶ他人に対して、こうも言い放ちました。 それはそれはかっこいいです。「どれだけの労力を注ぎ込んだかを知れば、天才なんて呼べないはずだ。」と。

天才と呼ばれた人は、これほどの繰り返しの努力をしているのですね。

「凡才が天才に勝つ方法」はただ一つ、「努力を継続させる」ことです。

「う~ん、道のりは遠い。」 気持ち入れなおして、諦めずに楽しく継続していきましょう。

~ まとめ ~

ロジカルシンキングは、論理的にものを考え、様々なことを整理、想定していきます。 結果として訪れた「苦労」は迷わず引き受ける度量が必要です。

そのためにロジカルシンキングで結論を出し、実行したのですから当然ですね。 「失敗」も恐れず普段の「努力」があればいずれは報われます。 果報は寝て待てといいますが、寝ててはダメです。 決めたら即実行が一番成功の確率は高いということも知りました。

ロジカルに物事を考えるロジカルシンキングは、集団が一方向へ行く結論を出すときこそ力を発揮すると思います。 ぜひ、結論に導いた、「事実」や「仮定」の正しさを検証し、まずは疑っていただきたいと思います。

非凡といわれた天才たちは、皆偉大な努力家だったということも知っておかなければなりません。

16.苦労は買ってでもするべきものか

17.「やる気」に相談してはいけない

18.失敗したときこそ喜びなさい

19.皆がうなずくときは疑ってかかれ

20.凡才が天才に勝つ方法

参考にしてみてはいかがでしょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。