「思いつき」はロジカルに考える出発点だ!(1)【ロジカルシンキング】
「ロジカルシンキング」というと「論理的思考」などと、私たちはとかく難しくとらえてしまいます。
それこそ、ロジカルに考えてみると、何もその言葉に恐れる必要がないことが分かってきます。
なぜかって?
|ロジカルシンキングは難しくない
何のためにロジカルシンキングをするかというと、やっぱり結果を出すためですよね。 「私は論理的に可能性を考え、そのことが実現可能かどうかを検討しました、その結果実現方法は極めて難しいと考えます。よってやらないほうがいい」なんて結論を出されたらどうでしょう!
「おいおい、できない!やらない! ための話を聞いてるんじゃなくて、どうやったらやれるかを聞いてるんだよ!」とちょっと怒りが込み上げてきませんか。
「理想の実現可能性は考えない。実現の方法を考える 」ことの方がとても重要です。
会社で自分の周りを見回してください。 まずは現状の難しさだの、できない理由を並べ立てて、最初からギブアップする輩が多いと思いませんか。
そのような方々は、自分の経験だけに頼り、新しい発想や奇抜な考え方をはなから持ち合わせていないからです。 つまり、シンキングプアーなのです。
じゃあ、いけてるロジカルシンカーはどのように考えるか?
そう、イメージできた多くの最初の「思いつき」を大事にするんですね。 ですから、そんなに難しく考えなくて大丈夫です。
「ロジカルシンカー」は常に論理的に考えてから答えを出すイメージがあるかもしれません。 しかし彼らは、そうしないことが時々あります。 その最大のケースが、こうあるべきだ、あるいはどうしてもこうありたいと思った時。 それが可能かどうか検証することなどすっとばして「こうだ」と言ってしまうのですね。
そして実現する方法を見つけ出すまで考え続けるんです。
ここが重要なポイントで、私たちは論理的であるために論理思考するのではなく、ものごとを前に進めるために論理思考するわけです。
そして、 冷静そうですが、「できるか? できないか? 」というニュートラルな姿勢で臨むのか。 少し前向きに「やれるはずだ。その方法を絶対考え出す」というポジティブな姿勢 で臨むのか。
結果を出せるのは、後者のポジティブな姿勢で臨むことなのですね。
|ロジカルシンキングの第1歩は「仮説の構築」
前置きはさておき、ロジカルシンキングの第1歩は、「思い付き」でも構わないので、まずは「仮説の構築」から始めることです。
まずは、目の前の事象・事実から推論をひねり出す作業をしてください。
2007年のリーマンショック以降再び、先行き不透明な時代に入り込もうとしています。 右肩上がりの日本経済は終わり、デフレ社会が延々と続き、アベノミクスで脱却するかと思いきや、再び世界経済に暗雲が垂れ込めています。 このような時代を生き抜くためには、私たち自身が、自分の能力やキャリアを高めていく必要があります。 これはサラリーマンであっても独立する人でもみな同じです。 特に、年功序列が崩れた労働市場において、また終身雇用もリストラなどで自分自身に降りかかることも特別ではなくなりました。
このような時代に、問題に答えを出すには、複雑な社会の動きや回りの状況をシンプルに理解することが必要になります。 そのために、物事の因果関係を整理して、問題解決の方法を練り上げるクリエーティブな思考力、つまりロジカルシンキング力が不可欠になってくるのですね。
それでは、例として仮説の構築をしてみましょう。
例えば、今年、消費税が8%からさらに10%へ増税されようとしています。 「社会保障の財源が足りない」という現実を解決するために、問題解決型として「消費増税を行ない社会保険のための恒久財源とすべきである」という仮説と、「社会保障制度を見直し、実現可能な規模へ縮小していくべきだ」という消極的仮説。 最近にわかに出てきた「ベーシックインカム(国民一人一人に最低保証の現金を渡すという福祉)の導入をスイスやフィンランドのように検討すべきだ」という問題解決型の仮説があります。
もう一つは、原因追及型の仮説で、「出張交通費が振り込まれていない!」というときに、「申請し忘れたかな」「経理担当者の処理ミスだろう」などその原因は何だろうと考えることです。
|アイデアの数で勝負する
最初の仮説は、「思いつき」で構わないといいました。 奇抜な説があってもいいから、まずはアイデアの数で勝負しましょう。
初期仮説は多いほど良いです。
このような仮説をどんどん出していきましょう。 最初から一つの仮説に固執すると、それ以外の部分が見えてこなくなり、偏った結論を招くかもしれません。 本質から外れた結論にならないためにも、このプロセスで手を抜かないようにしましょう。
|ロジカルシンキングの例題 「ベーシックインカムの是非」
それでは、フィンランドの状況を見て「ベーシックインカムの導入は是か非か?」という問題でロジカルシンキングをしてみましょう。
|まずはファインランドの状況を整理します。
1.格差の増大
2.経済成長の機会を最も逃している国
3.北欧の高福祉で豊かな国のイメージがあるが、近年はそれが揺らいでいる
4.同国の失業率は約10%で、3年に及ぶ不景気から這い出すのに必死
5.政府は不景気が終わっても成長の速度は遅いと予測
6.先の暗い見通しのために、約70%の国民がベーシックインカムに賛成している
|問題点
1.最大の問題点は財源。Mashableによれば、月800ユーロを成人だけに給付するとしても、年間470億ユーロ(約6.3兆円)が必要となりますが、2016年のフィンランド政府の歳入は、ほぼ同額の491億ユーロ(約6.6兆円)と予測。 ただでさえ緊縮財 政と予算カットで財政的余裕はない同国にとっては、財源確保は増税に頼ることになります。
2.フィンランドはEUの中でも最も高齢化が進んでおり、これが経済をさらに悪化させる要因となる可能性。 労働人口は縮小し、生産性は低下。所得税を払う人も減るため、歳入も減ると見られており、ベーシックインカム実現への道は険しそうだとの指摘。
フィンランドのネガティブな状況をポジティブに好転されるためには、整理されたキーワードの逆が求められます。 これを整理すると、
- 格差を解消したい
- 成長軌道に乗りたい
- 高福祉国家を維持したい
- 不景気から脱出したい
- 今後の成長速度を速めたい
- 国民の70%以上の賛成を維持したい
ということになります。
|複数のモデルがある
1.ほとんどの社会保障給付を置き換えるフル・ベーシックインカム
2.既存の社会保障給付の多くを継続したままにする部分ベーシックインカム
3.所得が増えると給付が減るネガティブ・インカム・タックス、
4.既存の給付を一つに統合し、社会貢献をした際に追加の給付をするようなその他のアプローチ
|導入の条件
実験は国と地域の二つのレベルで行いたい
特に地域全体にベーシックインカムを与えた場合、コミュニティ全体への影響が測れるため、収入が保証されたことで、地域にプラスの循環が生み出されるかどうかを見極めたいとしています。
|課題の整理
状況や問題点を並べますと、かなり現実は難しそうです。 他国が評価するように、ネガティブな結論に集約されそうですが、そこには「できない」という前提が隠れています。
- 抜本的な改革もしくは世界に先駆けた産業が新たに生まれて来ないだろうから、無理。
- ある程度の富の分配を残りの30%の人々が受け入れないだろうから、無理。
- 国民全体が働く意欲を持ち続けられないだろうから、無理。
- EUからの経済格差のある移民を完全拒否できないだろうから、無理。
ということになります。
|ポジティブシンキングで、「できる」という前提に立つ
これを、ポジティブに「できる」という前提で考えてみましょう。 ネガティブを反転させてみると分かりやすいです。
- 教育を充実させ、新たな産業を育成すれば可能
- AIやロボットなどで効率化された生産性分を財源として確保できれば可能
- 成功者や資本家が納得するような施策を考えられれば可能
- 国民全体で新しいことにトライしたり、生産性を上げる努力をすることを応援するならば可能
- 計画的な移民受け入れと教育の実際や最低保証までの努力を担保させるならば可能
- フィンランドは、楽しいし素晴らしい国だ、住みたいという文化を醸成させれば可能
このシンキングを踏まえ、フィンランド国民が最低限の幸せな生活を保障するためには、
「国民全員がよりよい国にするための理解と向上心、そして高い参加意識を持ち続けられる」かが重要ということがわかりました。
~ まとめ ~
このように、「ベーシックインカムの導入か」というニュースの記事からも自分なりにロジカルシンキングできる材料を見つけられます。
完璧な解決策をすぐに見つられなくても、与えられた状況やそこから発生している問題点を整理し、解決のアイデアを「思いつき」でもいいから多く出していくことによって、初期の仮説はだんだんと進化していきます。
- 状況を調べる
- 問題点を整理する
- 解決のアイデアを「思いつき」でもいいから出してみる
- 可能かどうかより実行できるポジティブな仮説をまず決めてみる。
- 整理して検証してみる
- 反対を考えてみる
- だんだんと仮説を絞っていく
- 自分の仮説をまとめる
まずは、ロジカルシンキングの第1回目は、とにかく難しく考えないということから始めました。
次回はポジティブに考えてみることの重要性について考えてみます。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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