商売をするには「誠実」であらねばならない。

そんなこと当たり前じゃない、そう皆さん思っていると思います。

できそうでなかなかできてない、それがまた「誠実」に商売するという難しさなのです。

誠実とは、約束を守るということですし、言ったことを確実に行動に移すということです。

つまり、有言実行ですね。

普段の私たちでさえ、自分がとった行動とそれまの言動が一致しているかを考えてみてください。

以外と自分の都合によって、それまで言っていたことと少し違うなということはありませんか。

まったくを持って前言を翻(ひるがえ)すことはなくても、それなりに方便を付けて誤魔化したことは誰でもありそうです。

誠実さは商売の基本

しかし、商売であるお客様に対しては、そうはなかなかいきません。

友人や家族に対するような甘えをお客様へ見せると、すぐさま信頼は崩れてしまうからです。

「お任せください」とお客様へ見栄を切ったら、できる限りの対処、つまり納得するほどの行動をとって初めてその言葉の意味が満足されます。

「誠実」とは、考えや言葉、行動に矛盾がないことと定義されています。

顧客から微妙に感じ取られている誠実さ

特に接客においては、お客様はその話し方を見て、どの程度誠実なのかを敏感に感じ取っています。 あなたも経験あるでしょう。 「なんかちょっと胡散臭いな」とか、「この店員、心ここに非ずっていう感じだな」とか、「面倒は早くすませたいと迷惑そうな顔をしている」など。 お客様は、微妙な機微さえも感じ取ってしまうものです。

誠実さに欠け、信頼できそうもないサイトや販売員からモノを購入したいでしょうか。 そのお店にしか置いてないとか、最後の一品だったとか、すぐにでも欲しい商品なので仕方がないなどの理由がない限りは、できればまっぴらごめんですよね。

店員さんや営業マンが素晴らしくとも、今の時代、企業そのものの誠実さが求められています。

誠実さの欠ける企業の不祥事

企業の不祥事はここ最近多く暴かれていますし、すぐにでもそのニュースは世界に広まっていきます。

フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正ソフトの問題。

過去記事 ⇒ VW社に見る組織の信頼 求められるリーダーとは?

東芝の「チャレンジ」という名のもとに行われた粉飾。

東芝が行った粉飾は「今年度の損益を来年度へ持ち越し、来年度の利益を今年度に割り当てる」というものでした。これが長い期間ずっと行われ、このことを当期利益至上主義と言われており、その結果1518億円の利益水増しとなったのです。

このように意図的に利益がかさ上げられた原因に「チャレンジ」と呼ばれる利益の引き上げ要求がありました。 前社長の佐々木社長の時にはプレジデントを意味する「P」をとって「Pチャレンジ」と呼ばれるようになりました。

従業員に過大な目標・要求をしており、当然その目標に達成できないわけですので、各部門で利益の水増しを行ったというわけです。 完全に内を向いた行動です。 無理を強いることを積み重ねていくと、どれだけ組織を蝕んでいくか、そして挙句の果ては今まで積み重ねてきた企業の信用を大きく失墜させていく結果を招くのです。

彼らには本当の笑顔が無かったはずです。

横浜の「傾いたマンション」問題も同じような体質が原因です。

元受けから孫請けまでの構造による責任転嫁。 さらに品質よりもコストを優先した背景があります。発注者の責任はあまり問われず、杭工事を請け負った旭化成建材など一部の企業名だけがクローズアップされました。 この問題も「企業の誠実さ」を問われる問題です。

不祥事はどんどん表に現れてきます。

三菱自動車の燃費試験不正問題。 それこそ三菱自動車においては、なんと不祥事は今回も含めて5回も起きています。

00年には、ユーザーからのクレーム情報を隠蔽(いんぺい)し、内密に改修・修理する大規模な「リコール隠し」をしていたことが発覚。 02年には横浜市と山口県で大型車の死傷事故が相次ぎ、欠陥を組織的に隠したり、国に虚偽の説明をしたりしたとして最終的に元社長らが有罪判決を受けました。 04年には乗用車の幅広い車種で再びリコール隠しが発覚しました。 12年には、エンジン部品のリコールに消極的だったとして国土交通省から厳重注意を受け、軽自動車176万台のリコールに発展しました。

スズキの燃費の違法検査問題。

そして、この燃費データ偽装事件がきっかけで、スズキの不正が明るみに出ました。

当初スズキは、「燃費性能を偽る不正行為はなかったが、国土交通省が定める規定と異なる方法で取得していただけ」と、強気でした。
国土交通省での記者会見で鈴木会長は、不正に関する社内処分について「(燃費を良くする)悪意があれば問題だが、善意でやっていたのなら人情的に考えなければ」といささか微笑しながら回答しています。
燃費数値を意図的にごまかしたわけでなく、正式な方法による燃費数値と乖離していなければさほど関係ないといわんばかりの話しぶりです。

三菱自は燃費データを偽装していた軽自動車の生産・販売を停止していますが、スズキは今後も生産・販売を継続する方針を示しました。
鈴木会長は「燃費は再確認して、ほとんどカタログ値と変わらないと確認している。顧客に対して迷惑をかけることはないので販売は続ける。販売店にも自信を持って売っていただく、ということでいいんじゃないかと考えている」と余裕の表情でした。

しかし、詳細を再度報告するよう指示された5月31日に状況が一変します。 走行テストを法律で決まっている規定の方法を組織的に知りながら行っていなかったことが判明したのです。

スズキも組織の問題を抱えていたと思われます。 風通しの悪さと、上に悪いことが伝わらないという大企業病であったり、オーナー経営の弊害がでてきたのですね。

働き方、働かせ方というブラック企業の問題。

また、社員やアルバイトを酷使したり、言葉巧みに消費者を騙して儲けたりするブラック企業が、次々とあぶり出されては炎上しています。

こうした動きは今後さらに加速していくと思います。

「自分の業績のため、組織のため、会社のために、良かれと思ってやった」

「みんなやっているし、ばれなければ大丈夫だろうと思ってやった」

そんな言い訳は一切通用しない社会になってきました。

これはなにもビジネスだけの話だけではありません。

誠実さの欠如はスポーツ界にも

ロシアの陸上競技連盟によるドーピング問題も同じような意識がその温床となっています。 国家ぐるみであることは未だ認めていませんが、世界陸連はリオデジャネイロオリンピックへの参加を認めない方向であることが報道されています。

人や組織が「誠実さ」を失うと、その代償は大きなものになってきます。

ネット社会だからこそ誠実さが重用

現代は、インターネットの時代です。 情報はすぐに拡散します。 さらに個人がスマホを持ち、SNSの時代でもあります。 いち個人の内部告発や思わぬつぶやきから、情報は広まり、世界を一瞬で駆け巡ることもあり得る時代です。

あらゆる組織や仕組みがガラス張りになる社会といえるでしょう。

どれだけガードを張っていても、いつかは世間の目に晒される日がくるといえるでしょう。

日本人の誠実さ(おもてなし)は群を抜いている

この誠実さというキーワードは、特に日本人にぴったりな言葉と思いませんか?

それだけ、日本人における対応というものは、あたり前と思っていますが、世界の中では信じられないくらいハイグレードなんですね。

誠実さという日本人としての良さをあたり前のように持ち続け、さらに磨きをかけていく、それがお客様の信頼をさらに高める力になります。

<心理的トリガー07> 誠実さ
 『シュガーマンのマーケティング30の法則』より

 あなたは約束を守っているだろうか? あなたの言葉は本当にあなたの行動を表しているだろうか? あなたの行動はあなたの言葉と一致しているだろうか?

言行一致はすべてにおいて決定的に重要なことだ。 対応に誠実さがないと微塵にでも感じたらお客が買ってくれる可能性は低い。

アクションステップ

 絶対に嘘をつかず、言行を一致させよう。

☑ お客の満足を左右する可能性のある事柄は、決して隠さないようにしよう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。