世の中すべてが完璧といえる商品やサービスがあるでしょうか。

メリットばかり並べられた説明の陰にしっかりとデメリットがあるはずです。

それは、価格であったり、機能であったり、デザインであったり、サイズであったり、メンテナンス性の問題であったりとどこかに潜んでいると思うんですね。

どんな商品にもデメリットがある
それをいち早く伝えることが重要

買う立場からすれば「デメリットがあるなら早く言ってよ!」と言いたくなります。

何かを売りたいときは「欠点の告知」は真っ先にすべきことです。 つまり、どうみてもこれは欠点だなと思うなら顧客より先にそのことを正直に伝えるべきなんです。

デメリットの感じ方は人それぞれ?

でも、ちょっと待ってください。お客様によって感じ方は違うんじゃないですか?
デメリットをいち早く伝えろと言ってもデメリットをデメリットと感じない場合もあるんじゃないの。
という疑問です。

確かに、そうです。

比較すると商品自体は素晴らしいのだけれど、値段が高い。
でも値段は、購入者の価値観に左右されますのでデメリットと感じない人もいるでしょう。

ある機能に特化するため、余分な機能は削っている。
機能は、購入者の必要性に左右されますのでけっしてデメリットとはいえないでしょう。

デザインにしても、これは購入者の好みによりますので、一般受けしないということが即座にデメリットになるとはいえません、

サイズは、購入者の設置する物理的環境が許し、それ以上に価格や機能で優れていればデメリットに感じないかもしれません。

メンテナンス性は、購入者の熟練度で解決できるレベルであれば、それは初心者だけのデメリットで留められるはずです。

このように購入者の購入条件や好みによってデメリットではなくなるケースがあります。

伝えるべきデメリットは一般的に多くの人が思うこと

では、ここで言う「いち早く伝えなければいけないデメッリット」とはなんでしょう。

それは一般的に多くの人がデメリットと思うだろう内容を指しています。

こちらから指摘しないと気が付かないようなこまごました欠点を言ってるのではありません。 誰もが気づくであろう欠点のことです。

デメリットをメリットに変える例
高層マンションの北向き部屋をセールス

例えば、都心の高層マンションに住みたいと探している人に、物件を紹介するとき、日差しがあまり入り込まない部屋しか空いてない場合。
一般的には南向きの部屋が好まれるというのが常識なので、北向きを一応デメリットとして告げます。

ここで終わったら顧客は単なるデメリットと感じ部屋自体を見てもらえないかもしれません。

以外なことばを添える

しかし、「最近では、高層マンションでは北向きのお部屋も人気なんですよ。」と言葉を添えてみるんです。

顧客は「え?どうして」という疑問がわき関心が高まります。

「実は、南向きのお部屋は一日中太陽が差し込んで高層マンションの場合、光を遮るものがないんですよ。 夏などかなり温度も上がりますし、冷房を利かせるために一日中遮光カーテンを閉めておくというご家庭もあります。
その点、北向きですとその心配はありませんし、一度見てもらえればわかるのですが、窓が大きいこともありますがけっこう明るいんです。 照明もいらないくらいですよ。 お値段も少しお安めですし。」

こうセールストークを言えば、その顧客にとってはデメリットが反対にメリットに変わるかもしれません。

納得感のある“ことば”をさらに添える

さらに北向きの納得感をさらに増す次のトークが追加できれば最高です。

「実は、お部屋からの眺望は北向きが最高なんですよ。 北向きの窓から見える景色は太陽の光に照らされて、明るく輝いて見えますし、山や樹木、空が美しく見えるのは北向きなんです。
それに、画家のアトリエは積極的に北向きに作られてるってご存知ですか? 北向きの部屋には落ち着いた光が一年中一定して入って来るからなんです。
また静かに読書や思索を重ねやすい環境づくりが重要な図書館も、あえて北向きに設計されているんですよ。」

ここまで来ると、北向きの部屋の好感度はグ~ンと上がって来ませんか?

デメリットと思われていることを真っ先に伝えることによって、信頼を勝ち取り、思わぬメリットへ変えることができます。

人の欠点を伝える話法

ここで似て非なるものかもしれませんが、人の欠点を見つけたときにそれを相手に知らせるテクニックをご紹介しておきます。

遅刻がちなAさんに対して、欠点(デメリット)を指摘してみます。

☑ 短所を長所で挟んで伝える「サンドイッチ話法」

嫌なことを伝えるために適した会話術の一つが「サンドイッチ話法」です。

前向きな話の間に後ろ向きな話を挟むことで、相手の受ける感情を和らげる狙いがあります。Aさんの遅刻癖に対して、「サンドイッチ話法」で伝えると次のようになります。

「Aさんは、気遣いができるけど、ちょっと時間に遅れるところがあるよね。周りの人にも優しいし、そこを気をつけるともっと良くなると思うよ」

いかがですか?
欠点が伝わりますが、長所で挟んであるため柔らかい表現になっています。
なお、サンドイッチ話法を使う際、逆に後ろ向きな話の間に前向きな話を挟むと、相手の受ける心理的ダメージが強くなるので注意しましょう。

⇒ 先ほどのマンションの例を当てはめてみますと、

「お値段はお手頃で立地もイイですが、北向きのお部屋になります
思ったより明るいですし光はやわらかいです。
しかし、夏は冷房に苦労しませんし、なによりも眺めがいいですからカーテンを開けたままで過ごせますよ。」

☑ 長所に続けて短所をいう「イエス・バット法」

長所に続けて短所をいう「イエス・バット法」は、相手のダメージが「サンドイッチ話法」より大きくなりますが、ここぞというときに効果を発揮します。

Aさんの遅刻癖に対して「イエス・バット法」で伝えるとこうなります。

「Aさんは、気遣いができて周りの人にも優しいけど、ちょっと時間に遅れるところがあるよね。そこを気をつけてほしいな」

いかがですか?
「イエス・バット法」では、相手に対して少し強めに伝わるのがお分かりでしょうか。
「イエス・バット法」は、相手の受ける心理的落差を利用して、嫌なことを伝えるという狙いがあります。 ショックは大きくなりますが、相手に反省を促すときに使うと効果的です。
しかし、短所だけを述べて注意するよりも、相手のことを考えていることが伝わるのがメリットです。

⇒ 先ほどのマンションの例を当てはめてみますと、

「駅にも近いですしお値段はお手頃です。
北側からの光はやわらかく明るさも申し分ないと思います。
また夏はすぐに空調が効きますから電気代もさほど気になりません。
なによりも眺めがいいですからカーテンを開けたままで過ごせます。
ただし、北向きのお部屋がご希望に沿うかどうか。

となります。

セールスはサンドイッチ話法がいい!

セールスの場合は、「サンドイッチ話法」がいいのではないかと思います。

買いたくなる一般的で大きな理由をまず先に伝えます。 ここでは「経済的に安い」ということと、「立地が良い」ということです。 つぎに一般的なデメリットと感じるかもしれない「北向き」という難点を伝えます。 そこからは、またメリットに戻って、「北向きであるがゆえのメリット」を伝えていきます。

さらに、「画家のアトリエ」や「図書館」の意外とも思える北向き肯定蘊蓄(うんちく)を付け加えると、「北向きの信ぴょう性」はさらに増してゆきます。

~ まとめ ~

☑ どんな商品にもデメリットがります。 だれもが思うであろう一般的なデメリットは、顧客が気づく前にいち早く伝えることが重要です。

☑ デメリットを伝えることで、信頼を得ることができるかもしれないし、デメリットをメリットへ変えることもできます。

☑ 伝えるときは、デメリットをメリットで挟んで伝える「サンドイッチ話法」が最適です。 まずは、最大のメリットを伝え、次にデメリットを伝えます。 そして、付随するメリットやなかなか気が付かないメリットを伝えます。

☑ デメリットがメリットになる事例をなるべく見つけて紹介しましょう。

<心理的トリガー04> 欠点の告知
『シュガーマンのマーケティング30の法則』より

 あなたは商品特性を把握し、お客を理解し、素晴らしい商品を持っているとしよう。しかし、もし致命的な欠点があるのなら、広告コピーや売り込みで、あなたの商品の欠点や難点を真っ先に伝えなければならない。

アクションステップ

 あなたの商品の中で、一般的にマイナスとされる特徴を判断し、セールスの早い段階で取り上げよう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。