今回のアカデミー賞にノミネートされた映画『オデッセイ』(原題:The Martian)を先日、見に行きました。 久々のリドリー・スコット監督がメガホンをとり、2011年に出版されたアンディ・ウィアーの人気小説『火星の人』が原作です。 宇宙での食料確保その気になる最新事情を調べてみました。

スコット監督、オスカー獲れなかったのは残念ですが、レオナルド・ディカプリオが23年越しに5度目のノミネートでやっと主演男優賞、獲れましたね。 まずはおめでとうございます。

ということで、オデッセイの話題です。

 

映画オデッセイ

まずは、映画『オデッセイ』の場面から。

原作の方は、最後の場面で帰還までのシビアな状況やクルーの家族との細かいやり取りなど、ところどころがカットされていますが、総じて映像が痛快でしたので私的にはOKです。

まあ、それにしても、取り残された時の食料が31日分しかなく、普通なら絶体絶命ですよ、もれなく餓死ですね。 マットディモン扮する植物学者ワトニー、諦めない力、すごいんですね。 感謝祭用に保存していた「ジャガイモ」を火星で育てようとするのですから。 考えついたとしても、水や肥料はどうするの?って思いませんか。

 ジャガイモの宇宙栽培

化学の実験じゃあるまいし、酸素と水素を化合させ水をつくるっていうんですから。 頭でわかっていても装置まで作成してみせる。 そんなマニュアルは宇宙船には載ってないでしょう。 それに肥料は、クルーたちが残したカチカチの人糞ですよ。 いや壮絶ですね。

これを見た日のニュースで、NASAがペルーのペルーの国際じゃがいもセンター(CIP)と共同研究を展開し、火星と同じ条件を整えた地球上の実験室内でじゃがいもを栽培し、本物の火星における農作物の栽培に備えようとしています。 過酷な条件下でジャガイモを使った本格的な栽培実験です。

え~マジですか。 と思いましたが、以前からそのようなプロジェクトは進んでいました。

ところで、宇宙での収穫量はどうなのでしょう。 最低気温はマイナス153度。 水がなく、土壌の成分が適しておらず、酸素がありません。 火星で本当にじゃがいもが植えられるのでしょうか? NASAは実験室内で火星の土壌と空気環境を作り出し、10数種類の植物の栽培に成功していますが。 どうなんでしょうね。 オデッセイの場面のように、水の生成から肥料、そして栽培、収穫まで期待してます。

オデッセイの原作 『火星の人』

アンディ・ウィアーは、アメリカ合衆国カリフォルニア州出身のSF作家。
原作の『火星の人』は、アンディ・ウィアーが2009年から自身のウェブサイトで連載していた小説。 読者からの要望を受け、Kindleストアで電子書籍として販売を始めたところ、3ヶ月で3万5000ダウンロードを記録するベストセラーに。日本では、ハヤカワ文庫で翻訳版が出版されています。
この原作は、日本のSFファンによって選ばれる賞、2015年に星雲賞海外長編部門を受賞しています。

 

|NASAが研究中の宇宙野菜栽培プロジェクト「VEGGIE

宇宙旅行を実現させるために最も難しい問題は食料の確保だと言われています。 当然地球から食料を持ち込むことになりますが、このコストは非常に高く、国際宇宙ステーションに食料を運ぶ場合1ポンド(約450g)あたり1万ドル(約100万円)かかるそうです。 すぐ食べ尽くされてしまう生鮮宇宙食、このような宇宙への食料移送の問題を解決しようと、プロジェクト「VEGGIE」が進行中なのです。

宇宙での植物栽培実験に高額な税金が投入されることに対して批判的な意見もありますが、宇宙での食料生産は、地球規模で起こる食料問題を究極的に解決する最終手段になるかもしれません。 NASAでは、マジ目に地球の植民地として月や遠く離れた火星での栽培を視野に入れているようですね。

 

 レタス栽培の例

宇宙栽培植物第一号として選ばれたのは「アウトレジャース」という赤みがかった品種の『レタス』です。 このレタスは成長するのが非常に早く、また有害な宇宙線対策に欠かせない抗酸化物質が大量に含まれているそうです。

レタスが宇宙栽培に向いているところは、育てるのにそれほど空間を必要とせず、短期間で収穫でき、加工せずに消費できる植物だからです。 この点を踏まえると、サツマイモやジャガイモは及第点止まりだそうです。 小麦と米にいたっては最悪な品種みたいですね。 今後は、ラディッシュ、豆、トマトなどが宇宙栽培の候補に挙がるかもしれないとされています。 先ほどのニュースが及第点のジャガイモ実験ですよ。

すでにLED光を使って宇宙でレタスが栽培されましたが、宇宙で食べることを許されませんでした。 アメリカでは宇宙微生物に対する基準が極めて厳格だそうです。 育てられたレタスは、持ち帰って微生物の量などを厳密に測定するんだそうです。

担当者のマッサ博士は、宇宙微生物には悪性種だけでなく良性種も存在するものの、これまでアメリカの基準では微生物の絶対的な量だけで判断してきました。 今回のレタスの分析結果次第でこの判断基準が見直される可能性が有り、これはVEGGIEプロジェクトにとっては追い風だといいます。

レタスを食べる宇宙飛行士たちが、こちら。

Veggies in Space: Astronauts Sample Freshly Grown Lettuce

宇宙で栽培したこの赤いロメイン・レタスは、ピンク色のLED照明を、光合成に必要な光源としています。 レタスは宇宙で成長が早く、栽培開始から28日後に食べられるほどまで成熟するそうです。

宇宙で食材を栽培することで、未来の長距離宇宙旅行の「新鮮な食物の供給」という難題が解消されます。 短期的に見ると、これはコスト削減を促す。1キロの食料を国際宇宙ステーションに送るだけで、1億4000万ポンド弱の費用がかかるそうですから。 日本円にしたら、220億円ですよ。 しかもこれらのほとんどの食品が高カロリーで長期間の保存に適してますが、新鮮な野菜はほとんどない状態です。

 

 マジですか? カタツムリも研究!

ロシア、クラスノヤルスクのバイオフィジクス研究所は、将来的に火星や月へ移住する人類のタンパク源として、現地で巨大な『カタツムリ』の養殖農場を作ることを提唱しているそうです。 また、メニューにはカイコも載っています。

宇宙で摂取するタンパク質の3分の2は動物性タンパク質であるべきだというのですが、スペースの限られた宇宙基地で牛を飼うことはできませんよね。植物の根や皮などの人間が食べられない部分を餌として与えるだけで、未来の宇宙飛行士は手軽にカタツムリを収穫できるということみたいです。

いや~おそろしや。 フランス料理ぽくエスカルゴのオリーブオイル焼きでしたら、ワインととっても相性がいいですから、毎日でもいけるかもしれませんが、どう調理するのでしょうね。 気になります。

「1人分を賄うには700~800匹のコロニーが必要でしょう。1日平均では、100~150gのカタツムリ肉を食べることになります。ですが、500gまでは安心して食べれますよ」と研究者はおっしゃいます。 アフリカマイマイは特に肉付きの良いカタツムリですし、10年以上の寿命を持ち、成長すれば20cmを超えるそうです。 私たち日本人には想像ができませんね。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)を含む、日本の科学者もこの10年間、昆虫食を研究していますね。 ミツバチ、バッタ、カタツムリ、ハエ、シロアリという最新メニューを発表。 さらに、今回のバイオフィジクス研究所では、植物の発達を促し、繊維も提供し、アミノ酸も豊富な『カイコ』を宇宙移住のスター候補に挙げています。

さらに、「う~ん、そこのとこどうなんでしょう!」と声も出ません。

 

 宇宙へエスプレッソのコーヒーマシーンを! これはいいね!

イタリアの宇宙機器メーカー、アルゴテック社が、同国大手食品メーカー、ラバッツア社と共同開発で、宇宙初の本格エスプレッソが楽しめるエスプレッソマシン『ISSpresso』を開発したそうです。

宇宙でコーヒーを淹れるのは至難の業です。 地球上でエスプレッソを淹れるときは、挽いたコーヒー豆に圧力をかけてお湯を通す事で、カップの中にエスプレッソを抽出します。 しかし宇宙空間では重力がないため、水が自然と下に流れることはありません。

どうも医療で使いそうな、ですから、あれです、「尿パック」に見えるのは私だけでしょうか。 失礼しました。

それがこちら。

それにしても、宇宙への夢、果てしないものがあります。

もうすぐ、どこからか宇宙人が到来して、この荒れ果てた地球を救ってくれるような気がしますが。 反対にならないように、私たちも科学を進歩させて希望をつなげていかなければなりません。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。