ダーウィンの観察力、ハンパない!(2)【100年後の証明】
アインシュタインの「重力波」予想が、アメリカの実験で100年ぶりに実証されたという記事を見て、「僕らのダーウィン先生も凄かったんだぞ!」というお話でした。
ダーウィン先生は、「人間の表情は世界共通なんだ!」とこまめにアンケートを取って世に問うたのですが、全然受け入れられず、それから時は100年経って1969年にアメリカの心理学者エクマン先生によって実証されたんですね。
そんなダーウィン先生、観察力もハンパないんです。
|ハンパない観察力
私たちの普段の生活の中で、多くの人がイヌやネコをペットとして飼っています。 そんなイヌやネコの生態を見て、ダーウィン先生は気が付いたことがあるんです。
それは、イヌやネコが人に甘えるとき、しぐさが違うということに着目したんですね。
どういうことかというと、
イヌが人に甘えるときは、
(ごはんをあげるときの“待て”の前の状態を思い出してください)
姿勢を低くし、前足でしがみつき、しっぽを垂らし、体をくねらせて飼い主の足にじゃれつきます。
ネコが人に甘えるときは、
(ニャーんと猫なで声を出しながらゆっくり近づいてくる状態を思い出してください)
姿勢を高くし、前足をつっぱり、しっぽをピンと立て、体を硬直させて足にすりついてきます。
確かに違いますよね。 そんなこと考えてもみませんでした。 飼い主に甘えるときの行動がまったく正反対なのは、どういう理由なのか?
私たち凡人は、それ以上の深い意味を考察するなんてなかなかしません。
ダーウィン先生、このように説明してくれています。 この説明がまたまたお洒落なんです。
先生は、飼い主に甘えるときの行動は、獲物に対峙するときの行動のアンチテーゼ(antithesis、反対行動)だと考えました。
分かりやすく言うと、
イヌが獲物を捕らえるときは、攻撃的な姿勢をとり、走り回り追いかけて捕まえます。 そのとき、姿勢を高くして、両足をつっぱり、しっぽをピンと立てますよね。
ネコが獲物を捕らえるときは、待ち伏せの姿勢をとり、至近距離から一挙に捕まえようとします。 獲物を待ち構えるときは、姿勢を低くし、両足をまげてかがみ、しっぽを垂らします。
ということは、図1の「甘えるとき」と、図2の「獲物に対峙するとき」の姿勢がまるで反対なんです。
「飼い主に甘えるときには、獲物に対峙するときの神経的な刺激と正反対の刺 激が与えられるために、反対行動が生じるのだろう。」
これがダーウィン先生の仮説です。
これを知って、思わず「へ~!」と納得してしまいました。
|感情には「敵対か親愛か」という軸がある
反対行動という考え方は、人の表情にも当てはまるんです。
喜び(笑顔)の表情のときは目じりが下がり、口はU字型(母音のイを発音するときの形)になりますが、怒りの表情のときのちょうど反対です。
ダーウィン先生によれば、私たちの感情には「敵対か親愛か」という軸があるといいます。
先生は、イヌとネコが飼い主に接する行動の比較から、この軸の存在に気づいたのです。
|感情のもう一つの軸
感情にはもう一つの軸があります。
心理学の研究によれば、5つの感情は、大きく2つにわけられます。
ポジティブな感情(ヨロコビ)と、ネガティブな感情(カナシミ、イカリ、ケンオ、オソレ)です。
ポジティブな感情は収入や評判への感受性と、ネガティブな感情は恥や罪への感受性と結び付いています。
|感情と5つの性格因子との関係
人間が持つさまざまな性格は、5つの要素の組み合わせで構成されるとするものです。 これが「ビックファイブ」と呼ばれている性格因子のことです。
その5つの因子とは、
- 「神経症傾向(N)」
- 「外向性(E)」
- 「経験への開放性(O)」
- 「協調性(A)」
- 「誠実性(C)」 です。
「外向性」はポジティブな感情と、「神経症傾向」はネガティブな感情と結び付いています。 「外向性」は私たちの人生を前に進めるアクセルであり、「神経症傾向」はブレーキとなります。
この説明についてはまたにします。
~ まとめ ~
ここから何を学ぶか。
ダーウィン先生の観察力に学ぶところは大きいですが、
私たちの感情には「敵対か親愛か」という軸があります。
もうひとつ、「ポジティブかネガティブか」という二つ目の軸があります。
私たちの性格は5つの因子の組み合わせで決まるそうです。
人生を前に進めるアクセルは、ポジティブな「外向性」。ブレーキとなるのは、ネガティブな「神経質」です。
自分の性格を把握して、ポジティブな方向へもっていきましょう!
次の回は、感情のメカニズムをホルモンの話を調査しますね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
コメントを残す