「こだわり」だけでは売れない!

いま本当にそういう時代に入ったのか?

それは事実でしょう。

世の中には「こだわり」があふれている

街を歩くと、

「私たちは、自然の食材にこだわり抜きました」

「私たちは、健康にこだわったお店作りをしています」

「お客様の幸せだけにこだわった商品づくりをしています」

など、「こだわる」という言葉が多く躍っていると思いませんか?

マーケティングの世界では、「こだわった」商品を売れば売れる、といわれていました。

「商品にこだわれば売れるんだ」というコンサルタントの言葉に乗せられて、

勘違いの店づくりをしているお店も多くあります。

そう、いまの世の中は、「こだわった商品」コンセプトであふれかえっていますよね。

ではどこが問題なのでしょう?

「こだわり」はまだまだ基本課題

とは言いながら、「こだわり」は、まだまだマーケティングの重要課題です。

商品を売るとき、重要なポイントがひとつあります。

それは、どんな商品にも「特性」や「個性」があるのですが、

これをしっかり把握して、顧客へアッピールすることです。

「こだわる」ことの重要性

たしかに「こだわる」ことは、マーケティングにおいて大変重要です。

こだわりの商品を開発する、こだわりの商品を集める、こだわりのお店で展開する。

商品を販売するときは、そのこだわりを見極め、しっかり把握して、

顧客へそのストーリーを伝えることができれば、

多くの顧客が関心を持ってくれるでしょう。

「伝える」ことの重要性

商品がもたらす真の価値を伝えることはとても重要です。

伝わっていれば、その価値ある場面に遭遇したときに発揮されるからです。

わかりやすい例をあげますと、

今回の熊本地震がそうです。

普段、保険代理店の友人から地震特約を勧められていましたが、

そのときは、どうしようかな、くらいの気持ちで聞いていました。

しかし、実際に身の回りで起こると、

断然真摯に話してくれた彼の言葉が脳裏に蘇ってきます。

ですから、「こだわり」を持って、その商品の特性をしっかり伝える

ということは、とても大事なのですね。

みんなが「こだわり」を意識するようになった!

21世紀以降、インターネットが庶民の中へ浸透し、

情報がすぐに伝わり、すぐに取り出せる時代になってきました。

ここ10年ではFacebookやTwitterなどSNSが広まり、

LINEなど簡単で便利なサービスも生まれ、

若い人から高齢者までコミュニケーションの世界は様変わりしています。

私どもは、「自然素材」にこだわったお店です。

そういったところで、どこがどのようにこだわっているの?

当初は珍しさで顧客が集まるにしても、

そのうち他と比較したり他の顧客レビューなどを参考に、

顧客はけっこうお店の本質を見抜いてしまうのですね。

例えば、こだわりレストランだったら、

こだわった食材が有機栽培なのか、自然農で採れた食材なのか。

自然農ですと、まだまだ量が少なく産地も限られていますので、

「おお、そうか。 それはこだわり度が高いな」との評価。

チェーン店であれば、こんなこだわりもあります。

サイゼリアのこだわりは、

「おいしさ」と「価格」と「食材」の3つを唱っていますが、

食材のこだわりには、こう書かれています。(HPより)

地中海式食事法の基本となるのは、滋養に富んだ新鮮な野菜たちと、イタリアならではのこだわりで丹念につくり上げられた食材たち。

テーブルワイン、ボトルワイン、パスタ、プロシュート、バッファロー・モツアレラ、ペコリーノチーズ、オリーブオイル・・・・・南イタリア料理の基幹を支える素材はイタリアで大切に育まれ、加工され、日本にやってきます。

サイゼリヤでは、まだ30店舗にも満たないころから、イタリアの生産者さんにアプローチし、長い年月をかけて信頼関係を構築し、生産者さんとともに品質向上や供給量増加を図ってきました。生産者さん自慢の逸品を、ぜひこころゆくまでゆっくり味わってください!

「イタリア現地で素材を調達している。 だから「本当」ということにこだわったイタリアンなんだ。」

ということをアッピールすることで、「なんちゃってイタリアン」じゃないと印象づけているのです。

安心安全ということよりも、産地にはこだわっているぞ、といった差別化です。

「『本物』のイタリアン」ではないにしても、「イタリアの『本当』の食材を使ったイタリアン」というわけなんですね。

このように、どこに価値観を持ってくるか、ここが勝負ですし、ここが差別化の分かれ道です。

こだわりの中身は多種多様 情報発信力が問われる

「こだわり」という言葉だけはあふれかえっていますが、その中身は多様です。

その中身は、ネット社会によって簡単に見極められようとしています。

私たちは、すべての商品や店舗を経験することはできません。

とすると、経験=来店や購入へ結びつけるのは、やはり情報がすべてでしょう。

それは、ネット上の情報だけではありません。

街を歩いてる際に、目や耳から飛び込んでくる情報もあるでしょう。

☑ 売り手側の「こだわり」の情報。

商品の特性や個性のアッピールです。

ここは、自社や自店が、商品のどこに価値を持たせ、どんなところにこだわりがあるか、これを明らかにする取り組みはマーケティングの基本です。

そして、商品の価値にあった価格で販売するということがさらに基本です。 価格の決定について、ここでは多くを語りませんが、価格は一つではありません。 一物二価にも三価にもなりますし、TPO(時間・場所・タイミング)のよって変わることは当たり前です。

☑ 他社比較による情報。

これはネット上の比較サイトで簡単に見つけられます。

食べログや価格ドットコムなどの比較サイトや、各社各店のHPから採取できます。

☑ ユーザーレビュー。

つまり最も怖い「口コミ」情報です。

レビューに関しては、やらせがないとはいえませんが、いい意見とダメな意見が両方きちんと掲載されていると信頼度は高まります。 特に、SNSでもFacebookでの投稿は実名が基本というところで信頼性はより高いといえます。 どちらにせよ、TwitterやLineで爆発的に拡散することもありますが、あくまでも一過性です。 正直商売をしている限りは心配する必要はありません。

☑ 店舗の場所と景観。

同じ「信州そば」を名乗っていても、現地から送られてくる「信州そば」と住んでいる地元の信州そばとは、その価値は違うでしょう。 ましてや、現地で食べる「信州そば」はめったに行けないという付加価値が付いてきますので、少々高くても食べてみたいものです。

お洒落な建物、ロマンチックな店づくり、新しい集積施設での展開など、空間や居住性を同時に楽しみたい、という欲求もあるでしょう。

「原宿、表参道ヒルズで買ったワンピース」、「夜景が見えるお台場のレストランで食事」、

商品そのものの価値に場所という付加価値が加わっています。 これも十分なる価値とこだわりです。

このように私たちは、事前の情報によって経験するかどうか(買うかどうか)を判断材料にします。

そしてもう一つ考慮しなければならないことが、顧客のこだわりとのマッチングです。

アクションに結びつける「買いたくさせる理由」

つまり、あなたの商品を買いたいと思わせる理由をちゃんと伝えているかということです。

たとえ良いものであっても、その顧客が欲しいと思わなければ購買にはつながりません。

欲しい、買いたい、と思わせる理由が必要なんですね。

その理由とは、「感情からの買いたくさせる理由」と「合理性からの買いたくさせる理由」があります。

「感情」には、物語(ストーリー)で訴え、伝えるのがいいでしょう。

「合理性」では、きちっとメリットデメリットを伝え、特性をアッピールし、顧客の個性に当てはまるかを判断してもらうために、あえて個性を強調する方法がいいでしょう。

~ まとめ ~

|「こだわり」から抜け出すために

「こだわり」を強調する商品やお店は、世の中にあふれ返っています。

商品やお店づくりに自信を持つことはとても大事なことですが、

「こだわりを持っている」ということだけで安心していてはとても危険です。

いち時代の電器産業のように、こだわりをもった「いい製品」を作っていれば、必ず売れるんだ、という過信を生じさせます。

そこには、顧客視点のマーケティングが欠けていたからです。

顧客にも買いたくなる理由が必要です。 その買いたくなる理由へ、提供側がいかに近づいていけるか、そしてどのように近づいていくかを追い続けることです。

「こだわり」はあたり前。 一方的な「こだわり」から双方向の「こだわり」へ。

しかし、「こだわり」の双方向、実は簡単な答えはありません。

提供したい顧客の「立場」や「心理」を読む努力を続け、

「顧客へ寄り添う姿勢が感じられるか」

その一点にかかっていると思います。

<心理的トリガー02> 適切なアッピールポイント
『シュガーマンのマーケティング30の法則』より

☑ どの商品にもそれぞれ特有の性質や個性があり、お客が共感できる特徴がある。 商品特性を認識し、お客との接点を見つけることができれば、売るための手掛かりになる。

アクションステップ

☑ あなたの商品を買いたくさせる主な理由を感情と合理性の両サイドから見極め、その理由を前面に打ち出すセールスを組み立てよう。

☑ お客があなたの商品に興味を示すのは、どんな理由からか考えよう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。