都道府県・郷土愛ランキングの分布図から見えてきたこと
最近の調査記事で、
47都道府県の「郷土愛ランキング」なるものが発表されていました。
「愛着度」と「自慢度」という2つの調査結果をもとに、ランキングの相関グラフ(分布図)を描いてみました。
ランキング形式の表で見るより、グラフの方が直観的でオモシロイことに気づきます。
|相関グラフで見る「郷土愛ランキング」
この調査は、ブランド総合研究所が、回答者2万9046人のデータを集計したもので、
「愛着度」は、地域の回答者自身の関係性や思い入れを尋ね、
「自慢度」は、地域と外との関係性・誇り、外部に積極的に情報発信する性向などを尋ねたということです。
さっそく、グラフを見てみましょう。
グラフは、「自慢度」を縦軸に、「愛着度」を横軸にとり、データは県別のランキング順位です。 軸は反転させています。
右上はランキング上位の県、つまり郷土愛が強い県がくるようにし、左下はランキングが低い県がくるようにしました。
|観光地は郷土愛が強い
郷土愛が強いナンバー3は、
「京都府」、「北海道」、「沖縄県」です。
次にくるのが、
「福岡県」、「熊本県」、「大分県」のいずれも九州3県です。
これに続くのが、
「長野県」そして「宮崎県」です。
いづれも観光には自信を持っている地域ですね。
お国自慢の県、すこし具体的にどこが自慢なのかをみてみましょう!
|わが県の誇り 具体的に見ると!
どこが誇り?とより具体的な12項目について、それぞれのお国自慢を順位化した結果もあります。 上位県は、このトップ10にどの程度入っているか検証しながら、個人的コメントを書いてみます。
「京都府人」の誇り
☑調4 「伝統芸能、祭り、イベントがある」 1位
☑調5 「誇れる美術館・博物館がある」 3位
☑調6 「歴史人物、著名人、職人などにゆかりがある」 2位
☑調7 「土産や地域産品がある」 1位
☑調12「地域を代表する産業や企業がある」 2位
確かに、日本の文化を代表する街と言えば「京都」です。 市内を流れる賀茂川や桂川の水は銘酒を育み、この両川に挟まれたこの地は、都であるがゆえに歴史に翻弄されながらも1200年の時を見事に駆け抜けてきました。
雅というだけでは語りつくせない、人々の様々な想いがつまった街です。 そのような一部のおぞましさを封印しながらも、頑なに伝統を守り続けた京都、とても素敵です。 また、四季を味わい、文化と伝統行事を大切にする京都は、食べ物を含め、奥深いものがあることを否定できません。 お国自慢、堂々の1位だと思います。
それゆえに、京都人ならではの矜持があるようで、他県者からは敷居が高い土地かもしれません。 まして、洛中に住んでおられるかたは尚いっそうでしょう。
しかし、そんな京都、私はこよなく愛しております。
「北海道人」の誇り
☑調1 「海・山・川・湖などの自然豊か」 4位
☑調7 「土産や地域産品がある」 2位
☑調8 「地元産の食材が豊富」 1位
☑調9 「食事がおいしい」 1位
北海道の自然は、日本の中でもその雄大さではナンバーワンでしょう。 自然自慢では「宮崎県」が1位なのですが、北海道を何度も旅行した私の中ではやはり1位です。 冬はスキー、それに短い夏はそれを惜しむかのように鮮やかな演出を道内隅々まで生命の息吹を私たちに見せてくれます。 自然の素晴らしさは格別です。
転勤族が住んでよかったという街、札幌。 東京、大阪以外では仙台、広島、福岡が4大政令都市です。
冬のシバれる寒さを除けば、1度は転勤を経験してみたいですね。 北海道は広いですから、南は函館、北は稚内、東は釧路、道央は富良野・旭川・帯広と行ってみたい場所が目白押しです。 2年かければ全部回れるかもしれませんね。
それに、機内から見下ろす各地空港のランディング景色。 ここに情緒があるんですね。 千歳空港では、瓦屋根の住宅が目に入らないんです。 傾斜のきつい屋根に必ずどのお家にもチムニー(煙突)が備え付けれています。
「ああ!冬はやっぱり寒いんだなあ」 そう思わずにはいられない光景です。
北海道の食材は、確かに美味しいのですが、しかし大味だと思います。 サケにしろホッケにしろ、サッポロラーメンにしろ、繊細さを売りにするより、おおらかな味付けというか、バターと味噌、寒い北海道には最適でしょうと言わんばかりですね。
私は、福岡県人ですので、あっさりとして味の肥えた玄界灘や東シナ海で獲れた食材を好ませていただいております。
「沖縄県人」の誇り
☑調1 「海・山・川・湖などの自然豊か」 6位
☑調4 「伝統芸能、祭り、イベントがある」 4位
☑調7 「土産や地域産品がある」 8位
☑調11「人の良さや優しさ、おもてなしが良い」 2位
沖縄へは1か月滞在したこともあり、県内ほとんどの観光地にはお邪魔しました。 沖縄戦の歴史や米軍駐留という本土とは異なった風景がそこにはあります。 言葉のイントネーションもあるでしょうが、沖縄の人たちはほんと人に対しての優しさを感じます。
しかし、昔、驚いたのが、ふら~と入った食べ物やさんで、お座敷に何人か寝転がっているんですね。 「あれ、お客さんが寝てるんだ」と思い、「すいません~!」と大きな声をだすと、「はい~!」と起き上がったのは、そこに寝ている人たちでした。 これには驚きましたね。 悪びれた様子もなく、笑顔で迎えてくれたのにはほっとしましたが。
沖縄は、なんといっても離島へ渡るのが最高です。 観光地化されているといっても、自然はほとんど手付かずにのこっています。
「福岡県人」の誇り
☑調3 「スポーツの参加・観戦が楽しめる」 3位
☑調4 「伝統芸能、祭り、イベントがある」 5位
☑調5 「誇れる美術館・博物館がある」 6位
☑調6 「歴史人物、著名人、職人などにゆかりがある 9位
☑調8 「地元産の食材が豊富」 7位
☑調9 「食事がおいしい」 3位
☑調10「道路や交通の便が良い」 5位
☑調7 「土産や地域産品がある」 7位
☑調12「地域を代表する産業や企業がある」 4位
福岡県の自慢、少し多くないですか? 私が住んでいる地元とはいいながら、福岡県人のお調子者がそうさせているのでしょう。
確かに、ソフトバンクの本拠地ヤフードームがありますし、祭りといえば夏の「山笠」です。 「山笠があるけん博多たい!」というフレーズが示すとおり、博多人の自慢ですね。
しかし、ちょっと断っておきます。 「山笠」は博多っ子のお祭りで、決して北九州市や久留米市など福岡市民以外は関係ないお祭りなのです。
実は、福岡県の中でも「博多は特別」くらい思っているお人が多いのではないでしょうか。 県内では他人事ですが、県外で「どこからきたの?」と聞かれると、「福岡です」と答えるのですが、「え?」と返答されると、すかさず「福岡博多です」と答えかしている自分がいます。
「熊本県人」の誇り
☑調2 「誇れる温泉やレジャー施設・公園などがある」 3位
☑調7 「土産や地域産品がある」 8位
今回の震災で、本当に熊本が心配です。
九州に住んでいますと、どこかへ行きたいかというと、必ず「阿蘇」や「天草」、「菊池」「山鹿」、「玉名」「八代」、それに「人吉」と、熊本県の観光地を挙げます。 その数を数えればきりがありません。 また、素晴らしい温泉地が全国区の「黒川温泉」をはじめいくつもあります。
食べ物にしても、熊本といえば「辛しレンコン」や「馬刺し」です。 馬刺しに関しては、福岡のスーパーでも売っていますが、なんといっても地元の馬刺しは絶品です。 地元に比べまったく問題になりません。 熊本の地元でぜひご賞味ください。 旨さの質が違います、その驚きが目に浮かぶようです。
それにしても、熊本県出身者のみなさま、ふるさと自慢が謙虚ですね。 トータルで5位と上位にいながら、個別の自慢では10位以内に2項目しか入っていないのですから。
熊本城は加藤清正公が改築した名城で、別名「銀杏城(ぎんなんじょう)」とも呼ばれています。 地震で石垣が崩れた多重櫓はすべて望楼となっており、見事な城構えです。 全国でも人気が高い名城なんです。
一日も早い復興をみんなで応援しましょう。
私は、阿蘇大橋をもう一度渡りたいです。
「大分県人」の誇り
☑調2 「誇れる温泉やレジャー施設・公園などがある」 1位
☑調8 「地元産の食材が豊富」 3位
☑調9 「食事がおいしい」 9位
大分県は親戚も多く、その土地柄はよく知っているつもりです。 大分には、日本を代表する温泉地が数多くあります。
言わずと知れた全国区の「湯布院温泉」、そして昔は西の熱海といえば「別府温泉」ではないでしょうか。 新婚旅行が別府、昔はありだったんですから。 それ以外にも、天領であった「日田温泉」、川添いに佇む「天ヶ瀬温泉」、そして阿蘇に引けをとらず森林浴が楽しめる「くじゅう温泉」など。
食材での全国区といえば、「関サバ・関アジ」でしょう。 豊予海峡で獲れ佐賀関漁協に水揚げされた魚を、ブランド化してこう呼びます。 また日出町で獲れた「城下カレイ」も美味しいです。
そして、「河豚(ふぐ)」といえば、山口県下関を思いつく人が多いかもしれませんが、実は「臼杵のふぐ」こそ、知る人ぞ知る絶品グルメなんですね。 キモを酢醤油に溶いていただくフグ刺しは、他では味わえないしろものなんです。 でも、けっして痺れたりはしませんよ。
大分県では、以前から一村一品運動が盛んで、各地で名産品を数多く生み出しています。 「かぼす」もそうですし、「しいたけ」もそうです。 他に「豊後牛」や安心院の「巨峰」も有名です。
「長野県」の誇り
☑調1 「海・山・川・湖などの自然豊か」 8位
☑調5 「誇れる美術館・博物館がある」 9位
今、なにかと話題の長野県、お国自慢10位以内の項目が2つとはここも謙虚ですね。 長野は、すべてを山に囲まれた県です。 有名な避暑地も数多くあります。
信州に自然を挙げればきりがないほどです。 「上高地」をはじめ「立山と黒部渓谷」、「白馬」には何度かスキーでお世話になりました。 「乗鞍」に「槍ヶ岳」、「御嶽山」に「開田高原」、そして「志賀高原」に「美ヶ原高原」と。 訪れていない場所もそれはそれはたくさんあります。
真田丸ゆかりの地としては、「上田城」、それに千曲川に抱かれた「松代城」があります。 そしてなんといっても、国宝「松本城」ではないでしょうか。
「宮崎県人」の誇り
☑調1 「海・山・川・湖などの自然豊か」 1位
☑調7 「土産や地域産品がある」 9位
☑調8 「地元産の食材が豊富」 4位
☑調9 「食事がおいしい」 5位
☑調11「人の良さや優しさ、おもてなしが良い」 1位
宮崎はサーフィンで何度もお世話になっている太陽の県ですから、大好きですが、自然以外には何もないともうしましょうか、荒らされていないということでしょうね。 宮崎の皆さまごめんなさい。
食材に関しては、やはり宮崎は地鶏でしょう。 市内にある地鶏専門店「軍鶏」や「丸万」の「地鶏のもも焼き」、ぜひご賞味を。 鶏のしたたる脂と炭焼きされた皮の香ばしさが絶品ですから。 それに、宮崎といえば、誰もが美味しいと答える特製タルタルソースで食べる「チキン南蛮」でしょうね。
まだまだあります。 実は「うなぎ」の出荷量は、鹿児島、愛知についでだんとつの3大産地なのです。 うなぎの稚魚は宮崎からの出荷が多いのです。
しかし、宮崎県で以外な事実があります。 それは、離婚率が高い県なのです。 全国では沖縄県が1位で、2位北海道と続きます。 宮崎県は4位で3位の大阪府と争っています。 そして5位は福岡県。 お国自慢は離婚自慢でもあるのかもしれません。 (謝)
|その他、県の誇り、1位は?
☑調3 「スポーツの参加・観戦が楽しめる」 広島県
☑調5 「誇れる美術館・博物館がある」 石川県
☑調6 「歴史人物、著名人、職人などにゆかりがある 山口県
☑調10「道路や交通の便が良い」 東京都
☑調12「地域を代表する産業や企業がある」 愛知県
広島は、広島カープ。 マツダのおひざ元です。
石川は、美術館や博物館が県内に17か所もあり、三大庭園といわれる「兼六園」がありますからね。 なんといっても加賀100万石、京に劣らぬ文化・芸術が息づいている街です。
山口は、明治維新に名を遺した賢公を多く輩出している土地柄です。 現安倍総理も山口のご出身ですが、歴代総理も多く、旧日本陸軍のほとんどは長州閥でした。 山口の山道を走ると、こんなところが片側2車線道路?と驚くことも多いですし、県内の車は時速60kmに慣れているせいか、けっこう飛ばします。 また山口県ならではのトリビアは、県道のガードレールが黄色いことです。 スナップ写真をどこで撮ったか、ガードレールの黄色をみればすぐにバレてしまいますのでお気お付けを。
東京が道路で自慢するのもどうかと思いますね。 一応、日本の首都ですから、当然でしょう。 それにしてもけっして快適だとは思わないのですが。 確かに新しく環状道路もつながって都心を避けられるようになりました。 しかし、人も車も密度が高い地域ですから、「交通の便がいい。そうですね」しか言えないです。
愛知県の自慢は、地元民なら当然だと思います。 なんてったって世界一のトヨタがありますし、徳川家康が生まれ育った場所ですから。 「ひつまぶし」を食べながら「日本の中心は、名古屋」、愛知県人はきっとそう思っているに違いありません。
|関東周辺の県はどうしたの?
このアンケートの質問が悪いのか、本当に自己否定しているのかわかりませんが、東京を取り巻く関東の周辺県の自虐的なランキングはどうしてでしょう。
再度グラフを載せますね。
グラフの左下をご覧ください。
最悪の順番から埼玉県、茨城県、群馬県、千葉県ときて36位くらいにやっと栃木県です。 これらの県については、東京とのギャップが大きすぎての仕業だと理解するにとどめておきます。
同じ東京周辺というと神奈川県ですが、自慢度13位、愛着度22位と比較的上に位置しています。
もう一つ疑問なのが埼玉県と並んで最下位の岐阜県です。 岐阜と言えば信長が命名した地名だといわれていますが、歴史上の人物で知ってるとすれば斉藤道三くらいしか知りません。 「美濃」と「飛騨」は岐阜の誇りではないのでしょうか。
岐阜県出身者の方、この理由を教えていただけないでしょうか?
出身者による都道府県の誇りランキングを見ながら何故か複雑な気持ちになったのは私だけでしょうか。
自分の生まれた土地ですから、一つや二つは誇りに思うことが必ずあると思います。 しかし、その土地出身者の気質もあるでしょうが、他県との比較において口に出したくないささやかな劣等感というものが醸成されていったのかもしれません。
自分では、自分の生まれた平凡な田舎の景色をとても愛していると思っていても、「わが県で誇りに思うことは?」と聞かれて、「はいここです。私の生まれた県です」とは答えないでしょう。
誇りにおススメの意味が多少入ってくると、日本人はなにかと謙虚になってしまうのですね。
大変参考になりました。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
岐阜県出身です。しかも岐阜市ではない。大学受験で愛知県内しか受からず岐阜脱出の機会を失う。何しろ岐阜大学以外にまともなだいがくがないから。岐阜は埼玉と同じように、美濃地方が名古屋の通勤通学圏です。
その後結婚を機に愛知に脱出、転職して今は関東圏にて働いています。関東と愛知を行き来して、岐阜の高齢の母を見舞いに年に数回岐阜に行く。そんな現況ですが親が亡くなったら親の家屋敷を処分してギフト縁を切りたい。
愛知もそうだが、古い農業社会の考え方が残っている。長男は親の田んぼを引き継ぎ百姓を続け、親の世話をする。親が亡くなった後は代々の先祖供養の儀式を引き継ぐ。村社会の掟を守る。こういう旧弊な考え方が残っており、故郷に残った親族と見解が異なり喧嘩になり、故郷が嫌になる。これが郷土愛の薄れる原因かな。
コメントありがとうございます。
聞かないとわからない事情ってほんとあるんですね。
自分が生まれたふるさとを愛したんだけど、地元の現実がそれを引き戻す。
それにもともと都市部に住んでる人と周辺の田舎だと認知している人の差は激しいです。
私の住む福岡でもそうですよ。
オモシロいのが同じ政令都市の福岡市と北九州市。
北九州市の人間は福岡へは足しげく通うのですが、福岡市の人間は北九州へめったに行かない。
行っても本州への素通りなんですね。
だからどうしたの?といわれそうですが、それだけ立ち位置が違うんです。
口に出されるとムっとくるのですが、「そんなもんだよね」と笑うだけです。
プライド高い京都人でさえ同じ府内でも洛中居住者のプライドはさらに高いそうです。
岐阜も「住めば都」でしょう。
しかし、伝統と固執は違いますから、もっと地元を愛せるような岐阜にしたいですね。