恵方巻きとその方位の謎に迫る!京の都の吉方計算式【解説】
2月3日、本日は節分ということで、各地では、「節分の豆まき」が行われています。
最近では、「恵方巻き」を食べる行事が、当たり前の風物詩になってきました。
もともと、大阪の一部地域にあった習慣が、セブンイレブンが広島で仕掛け、「これはいける」と全国区に展開したのですね。その点、セブンカフェもそうですが、セブンイレブンは付加価値を付けて既存の商材を生まれ変わらせることは本当に得意です。
|歳徳神は福を呼ぶ
今回はその話題ではなく、恵方巻きの原点ともなった「歳徳神」さんの原点についてお邪魔していきたいと思います。
|日本唯一の京の恵方社
お祭りしてます日本唯一の「恵方社」は、京都の二条城南に面します「神泉苑」の中にひっそりとあります。
わたしも何度かここを訪れたことはありますが、ここはそれほど観光地観光地してないところです。南の正面から入りますと、池があり、善女龍王を勧請したお社があります。昔はもっと広大な敷地だったそうです。
「神泉苑」というと、空海さんの「祈雨」の話が有名ですよね。
|祈雨のはなし
ちょっとその話に触れておきます。
淳和天皇の御代に大日照りが続き、「雨を降らせよ」とまずは空海さんに勅命を出したのですが、法力では空海さんの自称ライバルと言っていた守敏さんという方がまずは祈祷を行いました。がんばりましたが、ダメだったんですね。雨は降りません。そこで真打登場、空海さん。同じく祈雨を繰り返しますが雨は降りません。困った空海さんが心眼をもってその原因を調べてみると、先の守敏さんが雨を降らせる龍を閉じ込めていたんですね。相手の手中に龍がいます、どうしたものかと探っていると、守敏さんお手から逃れた龍がいることがわかりました。空海さんは、ここ神泉苑にその善女龍王を勧請して、見事雨を降らせることに成功したのです。
とまあ、こういう話ですね。
神泉苑は「善女龍王社」が目立つため一見神社のようですが、京都九条にあります「東寺」が管理するお寺なんですね。
|ところで歳徳神さんとは誰なのでしょう?
それは、牛頭天王の奥さんである頗梨采女(ハリサイジョ)と言われています。(一応、女性神の絵がありますので) 実は、頗梨采女には八人の子供たちがいて、「八将神」と呼ばれています。 その中の一人が、「太歳神」という将軍神で、陰陽道でいうところ、吉方を決めるため年の初めにまず最初に座るそうなのです。 この太歳神が座った後、他の七将が位置に付くのですね。
ここで「八将神」に触れておきます。
太歳神(たいさい)十二支の方位に居する。木曜星(歳星〈さいしょう〉)の神格。移転普請は吉。訴訟、伐木は凶。
大将軍神(たいしょうぐん、だいしょうぐん)金曜星(太白)の神格。3年同じ方位に留まるため三年塞がりといい万事に大凶。
太陰神(たいおん)土曜星(塡星〈ちんしょう〉)の神格。縁談出産は凶。
歳刑神(さいぎょう、さいけい)水曜星(辰星〈しんしょう〉)の神格。耕作は凶。
歳破神(さいは)土曜星(塡星)の神格。移転旅行は凶。
歳殺神(さいさつ、さいせつ)金曜星(太白)または火曜星(熒惑星〈けいこくしょう〉)の神格。縁談に凶だが仏事には吉。
黄幡神(おうばん)羅睺(らごう)星の神格。武芸に吉。移転普請は凶。
豹尾神(ひょうび)計都星の神格。豹のように猛々しく、家畜を求めるに凶。大小便も凶。
「八将神」は陰陽道の神で方位の吉凶を司る八神の総称です。歳徳神・金神と並び重要で、その年の十二支によって居を変え、その方角が吉凶を左右するとされました。基準となるのは太歳神で常にその年の十二支の方位に位置し、それに対応して他の七神は居を定めます。
ここで何が言いたいかと申しますと、全て陰陽五行説からくる陰陽道によって構成されているんですね。
|「八将神」と吉凶方位
「八将神」は12分割された方位(30°づつ)のどこかにいらっしゃいます。
太歳神は、十二支を子から順繰りに回っていきます。
太陰神と歳刑神と歳破神も、十二支を回りますが、順繰りではありません。
歳殺神と黄幡神と豹尾神は、「戌・未・辰・丑」の4つの方角ですから、「330°、210°、120°、30°」 になります。
最後の大将軍神は、「子・卯・午・酉」の4つの方角ですから、「北・東・南・西」「0°、90°、180°、270°」 になります。
方位は。4分割、8分割、16分割、32分割と2の累乗に分けていくと東西南北を使って方位も言いやすいのですが、八将神の12分割や歳徳神の24分割となると、正式な表現は難しくなるのです。
例えば、今年の恵方は、「南南東、157.5°(180°-22.5°)」となっていますが、正式には「165°(180°-15°)」と南よりの方角ですから、「南南東ちょっと南寄り」という表現になります。
歳徳神は、方位を24分割(15°単位)で決めていきます。 またややこしいのが、陰陽五行の十二支を十干の陰陽でグループ分けされますので24なのですね。これについては、後でわかりやすく計算します。
話を戻しまして、日本神話と歳徳神の繋がりをみてみましょう。
|記紀とのつながり
古事記によります、それは日本という国がかたち作られる以前の、むなしむかしのお話です。
乱暴者であったスサノウ(須佐之男命)は、姉であり高天原を支配するアマテラス(天照大神)から追放され、
国つ神として出雲の国に降り立ちました。
その地には、頭が8つに分かれたヤマタノオロチ(八岐大蛇)が住むといわれ、
アシナヅチ・テナヅチ夫婦の8人の娘のうち、すでに7人が食われたという。
最後に残った末娘の名は、クシナダヒメ(古事記では櫛稲田姫、日本書紀では奇稲田姫)、とても美しい姫でした。
注)日本書紀は、天武天皇時代に編纂され、天智天皇の古事記を少し否定するかのような、よって少し書き換えられたのではないか、と邪推しております。
スサノウは哀れと思いながらも、ヒメの美しさに恋をしてしまい、
スサノウは条件を出すのでした。
「私がヒメを助ける代わりに、助けたおりには姫の結婚を許すか」と。
アシナヅチとテナヅチの夫婦は、助けてもらいたい一心で二つ返事で承諾します。
いざ、ヤマタノオロチとはどのようなバケモノか、
それはそれは恐ろしい、
「一つの胴体に8つの頭、8つの尾を持ち、目はホオズキのように真っ赤であり、体にはコケやヒノキ、スギが生え、8つの谷と8つの丘にまたがるほど巨大で、その腹は、いつも血でただれている。」
というではありませんか。
スサノウは、夫婦に前もって用意をさせます。 それは、
「8回も繰り返して醸造した強い酒を造り、また、垣根を作り、その垣根に8つの門を作り、門ごとに8つの棚を置き、その棚ごとに酒を置いておくように」との指示。
門の前までやってきたヤマタノオロチ、その酒を見てがぶ飲みしたのですね。 そうです、酔わせたのです。
あれほど飲み過ぎには注意しましょうと言うのに、グウグウと眠りこけてしまったのです。
ここからは、スサノウの思うつぼです。 オロチを滅多切りし、成敗してしまいました。
その時、オロチの尻尾から出てきたのが、
あの天皇家の三種の神器として今に伝わり
、本物は愛知の熱田神宮に御神体として納められているという、天叢雲剣(アマノムラクモノツルギ)なのです。
この剣は、姉であるアマテラスに献上され、後に草那芸之大刀(クサナギノタチ)として、天孫瓊瓊杵尊(テンソンニニギノミコト)へと受け継がれてゆきます。
ちょっと待った!
スサノウさんと恵方巻きとどういう関係があるのよ。
おっしゃるとおりです。ごめんなさい。
スサノウさんの奥さんになったクシナダヒメと関係があるのですね。
|恵方巻きと神話との関係
実は、恵方巻の方角、つまりその年の吉方を決める「歳徳神(としとくじん、とんどさん)」は、そのクシナダヒメだと言われています。
また、祇園精舎の守護神もされる仏教由来の神である牛頭天王(ゴズテンノウ)の后である頗梨采女(はりさいじょ、はりさいにょ)だとも言われています。
日本に仏教が入ってきて、仏教が神道と交わり、神仏習合(しんぶつしゅうごう)の信仰となっていきました。
ですから、設定上、同じ方といっても過言ではないのです。
|陰陽五行説の影響
その歳徳神はどのような裏付けから出てきたのでしょう!、
あの平安時代の京都、「安倍清明の陰陽師」で有名になりました「陰陽道」から来てるんです。
歳徳神は、福徳を司る神様で、凶神の金神と方角が一緒にならないように決められております。
出ました、「金神」さん。
金神とは方位神の一つで、金神の在する方位に対してはあらゆることが凶とされ、特に土を動かしたり造作・修理・移転・旅行などが忌まれます。 この方位を犯すと家族7人に死が及び、家族が7人いない時は隣の家の者まで殺される(これを七殺(ななさつ)という)と言われて恐れられました。 金神さんの方位も、歳徳神さんと同じくその年の十干によって変わるんです。
当然、凶をもたらす「金神」さんと福をもたらす「歳徳神」はお互いを避けるんですね。
|十二支十干で決まる
2016年は、十干でいうところの丙の年ですから、子・丑・寅・卯・午・未に金神はいます。
そこで歳徳神は、金神がいる午の方角を少し外して「巳午」の方角にいらっしゃいます。
十干について触れておきますね。
十干(じっかん)は、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸ですね。
簡単に説明しますと、陰陽五行説は、この世は、木・火・土・金・水の五行で成り立ち、おのおの陰(-)と陽(+)があるとしたのです。
そのおのおのが、十干です。 五行(木火土金水) × 二(陽陰) = 十干
|歳徳神の方角決めへ話を戻します。
恵方は4つと申し上げました。
それが、「①東北東」 「②西南西」 「③南南東」 「④北北西」 の4方向です。
正式な二十四方位でいいます。 「①寅卯」、「②申酉」、「③巳午」、「④戌子」になります。
一つが15°づつで区切りられますので、 「2時半、75°」、「8時半、255°」、「5時半、165°」、「11時半、345°」の方角ですね。
西暦の末尾で順繰り規則良く回ってきます。
2016年(平成28年)は、③の南南東。
【 1 ③、 2 ④、 3 ③、 4 ① 、5 ② 】 【 6 ③、 7 ④、 8 ③、 9 ①、 0 ② 】
つまり、西暦の1桁目末尾が「1」から数えて③・④・③・①・②となりますから、「1、2、~ 9、0」は、「③、④ ~ ①、②」ですね。
~ まとめ ~
毎年の恵方巻の方角、すぐに応えられる覚え方。
【南・北・南・東・西】マイナス15°
(1から始まる南北南や東西へ、−15°してちょうだい)
どうでしょう!
最後までお付き合いいただきましてありがとうございます。
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